利率対決! ネット銀行定期vs.個人向け国債

2023/04/24

資産運用

今回は、株式投資に回さない安全資産の置き場所として、現時点で最も優れている元本保証の金融商品は何かという話です。

このブログでは今年1月、「利率上昇!国債購入が視野に入ってきた」という記事を投稿しました。

これまでは低金利の国債を買うくらいならネット銀行に預金した方がマシだと思っていたけど、日銀の政策修正で状況が変わってきたぞ、という内容でした。

それから3カ月が経過し、現状はどうなっているのでしょうか?

結論から言うと、国債の利率は今年1月にグンと上昇した後、横ばいが続いている。これに対しネット銀行には利率上昇の動きがなく、国債に見劣りした状態が続いている。よって現時点では、安全資産の置き場所としてはネット銀行より国債の方が優秀だ、という評価になります。

では、具体的な数字を比較しながら解説していきましょう。



最近の国債利率の動き

まず、個人向け国債の利率をめぐる近年の動向をおさらいしておきましょう。

僕が会社を早期退職して資産運用を始めた3年前、つまり2020年当時、個人向けの変動金利型10年国債(略称「変動10」)の利率はわずか年0.05%でした。これは「世の中がどんなに低金利になっても、この利率は保証します」と財務省が約束している最低ラインです。

一方、ネット銀行の中には当時、3~5年ものの定期預金で年0.3%前後の利率を提供しているところがチラホラありました。例えば、オリックス銀行の5年定期の利率は年0.35%(税引き前)と、変動10の7倍でした。

だから、この時点で僕には国債を買う理由がありませんでした。株式投資に回さない安全資産の置き場所としては、ネット銀行の定期預金が最適と考えていたからです。

ところが、2022年の初めごろから変動10の利率はジワジワと上昇し始めました。それでも、上昇幅は微々たるもので、年末の段階ではまだ0.17%(12月募集分の初回適用利率)にとどまっていました。

しかし、年末に日銀の黒田総裁(当時)が金融緩和路線の事実上の修正を表明したことで状況は一変。今年に入ると変動10の利率は一気に0.33%(1月募集分の初回適用利率)へ急上昇しました。日経新聞によると、この0.33%という数字は7年半ぶりの高水準だそうです。

一方、ネット銀行の利率はこの3年間で逆に低くなる傾向にあり、この時点でほとんどのネット銀行預金の利率は変動10に追い抜かれしまいました。

以上が前回の記事でお伝えした内容です。

では、その後どうなったか。変動10の利率の推移はこんな感じです。


1月募集分 0.33%(1月6日財務省発表

2月募集分 0.32%(2月3日財務省発表

3月募集分 0.33%(3月3日財務省発表

4月募集分 0.30%(4月5日財務省発表


ご覧の通り、日銀の政策に連動する形で0.30~0.33%あたりを推移しています。


ネット銀行と国債の利率比較

これに対してネット銀行側の動向はどうか。

高金利として知られる主なネット銀行の普通預金・定期預金の現在の利率を表にまとめるとこんな感じです。参考までに3大メガバンクや変動10の利率も一緒に並べておきます。

(カッコ内は1000万円預けた場合の1年当たりの税引前利息の金額、預入期間1年未満の定期預金は除外)

 

・3大メガバンクの普通預金 0.001%(100円)

・3大メガバンクの定期預金 0.002%(200円)

あおぞら銀行の普通預金  0.20%(20000円)

オリックス銀行の定期預金 0.25%(25000円)※3年もの

オリックス銀行の定期預金 0.28%(28000円)※5年もの

SBI新生銀行の定期預金 0.30%(30000円)※1年もの

SBJ銀行の定期預金   0.30%(30000円)※3年もの

SBJ銀行の定期預金   0.35%(35000円)※5年もの

オリックス銀行の定期預金 0.35%(35000円)※7年もの

・変動金利型10年国債    0.30%(30000円)※4月募集分

(※SBJ銀行の利率は7月末までの期間限定キャンペーン

 

いかがでしょうか。

僕は当初、日銀の金融緩和政策修正を受けて、定期預金の利率を上げてくるネット銀行が次々現れるかと期待していたのですが、この4か月間、そういう動きはほとんど見受けられませんでした。

結果として、変動10を上回る利率を提供しているのはSBJ銀行の5年定期とオリックス銀行の7年定期のみ。変動10と同水準の利率を提供しているのはSBI新生銀行の1年定期とSBJ銀行の3年定期のみ、という状況になっています。

では、これらの定期預金は、安全資産の置き場所として変動10より優れていると言えるでしょうか。

僕の考えはノーです。

安全資産置き場は現状「変動10」がベスト

まず、3年以上の定期は、何といっても満期までの拘束期間が長すぎます。

現時点では変動10の利率をわずかに上回っていますが、今後世の中の金利が上昇し、「割に合わない商品」になってしまう可能性が大いにありそうです。そのような場合、定期預金を途中解約すると、当然のことながら高金利は適用されなくなってしまいます。

その点、変動10なら世の中の金利変動にあわせて半年ごとに利率が見直されるし、途中解約しても直近1年間の金利だけあきらめれば、それ以前の金利は受け取ることができます。よって、拘束期間がこれだけ長くてこの程度の利率の差なのであれば変動10を選ぶ方が無難に思えます。

次にSBI新生銀行の1年定期。こちらは満期までの拘束期間は短いですが、利率が同じなら、安全性の面で国債に軍配が上がります。

銀行預金の場合、万一その銀行が破綻すればペイオフが発動されて1000万円を超える部分が手元に返ってこない恐れがありますが、国債であれば日本が国家破産しない限り元本が保証されるわけですから。

というわけで、現在の金利水準が続く限り、安全資産の置き場所としてはネット銀行より個人向け国債の方が優秀だというのが僕の結論です。実際、僕は今年に入ってから、1行あたり1000万円を超えていたネット銀行の定期預金を解約して国債を買いました。

資産運用と言えば、どうしても値動きのあるリスク資産の運用先ばかりに目が向きがちですが、僕は安全資産の置き場所にも同じくらい気を配るべきだと考えています。ネット銀行や国債の利率変動には今後も注目し、このブログで定期的に記事にしてゆくつもりなので是非ご期待ください。



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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。

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