財務省が本日、12月に発行する個人向け国債(変動10)の初回適用利率を0.60%(税引き後0.47811%)にすると発表しました。
募集期間は明日11月7日から11月30日まで。発行日は12月15日です。
(→リリース資料はこちら)
今年7月に日銀の植田総裁が金融政策の修正を表明して以降、9月発行分が0.39%、10月発行分が0.43%、11月発行分が0.51%と、変動10の金利がジリジリ上昇。さらに10月31日の記者会見で、「長期金利は絶対に1%を超えさせないぞ」という従来の姿勢から「ちょっとくらいなら1%を超えてもいいや」という方向に修正したことで、一段と金利を押し上げる結果になりました。
僕が早期退職した2020年3月時点では変動10の金利は0.05%だったから、この3年間で10倍以上も上昇した計算になります。
これにより、日本政府の利払い負担が増えるとか、いろいろな影響はあると思いますが、とりあえず一個人としては、国債の「安全資産置き場」としての利用価値がさらに高まったと言えるでしょう。
主な安全資産の金利を比較すると
ではここで、いつものように国内の主な「安全資産置き場」の現在(11月6日)の金利をざっと比較してみましょう。
(いずれも税引き前、カッコ内は1000万円預けた場合の1年当たりの税引き前概算利息額)
・3大メガバンクの普通預金 0.001%(100円)
・3大メガバンクの定期預金 0.002%(200円)
・あおぞら銀行の普通預金 0.20%(20000円)
・SBI新生銀行の定期預金 0.30%(30000円)※1年もの
・オリックス銀行の定期預金 0.30%(30000円)※1年もの
・オリックス銀行の定期預金 0.35%(35000円)※3年もの
・オリックス銀行の定期預金 0.40%(40000円)※5年もの
・個人向け国債(固定5年) 0.42%(42000円)※12月発行分
・オリックス銀行の定期預金 0.45%(45000円)※7年もの
ご覧の通り、変動10の利率がダントツです。
民間銀行では唯一、オリックス銀行が高金利の定期預金を用意して頑張っていますが、変動10の金利上昇にはついていけず、その差は開く一方です。
日銀の金融政策見直しによって今後も長期金利の上昇が予想されることを踏まえると、利率が固定された銀行の定期預金よりも、半年ごとに利率が見直される個人向け国債(変動10)のほうがさらに有利になっていくような気がします。
また、途中解約した場合の扱いでも、定期預金より個人向け国債の方が有利であることを考えれば、もはや「安全資産置き場は国債一択になった」と言っても過言ではない状況です。
今後、ネット銀行各社の逆襲はあるのか、ひきつづき注目していきます。