なぜインデックス投資なのか、腹落ちさせてくれた本

2022/12/23

資産運用 読書

 

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今回は本の紹介です。



以前このブログで、僕が新聞社を早期退職する前に資産運用をにわか勉強してインデックス投資に目覚めた、という話を紹介したことがあります。(詳しくはこちら

その際、「数ある投資手法の中でインデックス投資が最も理に適っていると思う」と私見を書いたところ、読者の方から「あなたがそう思うに至った情報源は何ですか。私もインデックス投資に興味があるので、おすすめの本なり記事なりを教えてください」という質問をいただきました。今回はその回答です。

結論から言うと、1冊の本とか1本の記事とかいった特定の情報源に深く感銘を受けてインデックス投資に目覚めたというわけではありません。以前も書いた通り、たくさんの投資本や投資記事、投資系のYouTube動画を浴びるほど読んだり見たりした末の僕なりの結論です。

とはいえ、その中でも特に心に残ったおすすめの本はあります。それは、藤沢数希さんという方が書かれた「なぜ投資のプロはサルに負けるのか?」(2006年、ダイヤモンド社)という刺激的なタイトルの書籍です。

まあ、本当は「敗者のゲーム」とか「ウォール街のランダム・ウォーカー」とかいった古典的名著を挙げれば格好いいのですが、恥ずかしながら僕にはこの2冊を読みこなすだけの素養がありませんでした。文章が難解に感じられて途中で投げ出してしまったのです。

その点、この藤沢さんの本は面白おかしくウィットに富んだ文章で書かれていながら、素人の僕にもインデックス投資の優位性をストンと腹落ちさせてくれました。

初版から16年も経つ古い本なのに、書かれている内容はまったく色あせていない。それどころか今年出版されたばかりの本だと言われて読んでも、全く違和感を覚えない。それくらい普遍的な株式投資の真理を語っています。

特に読んでほしいのが、第4章「投資は運か実力か?」と第5章「現代ポートフォリオ理論のシュールな結論」。あわせて50ページ余りのこの部分を読めば、インデックス投資がいかにシンプルかつ効率の良い投資法であるかがよくわかると思います。

その内容を、僕の拙い筆力で無理やり要約すると以下のようになります。


 市場は全ての情報を織り込む、ゆえに…

現在の株式市場では、多くのファンドマネジャーが市場の歪み(実際の価値とかけ離れた価格で放置された銘柄)を常に探し続けているので、すべての株には限りなく適切な価格がついている。そして、新たな情報が出てくるたびに瞬時にそれが株価に織り込まれる。(この考え方を効率的市場仮説と呼ぶ)。

従って、短期的に見れば、これから株価が上がるか下がるかは、次にどんな新情報が飛び出してくるか次第であり、プロであっても素人であっても予測は不能。これが株価はランダムウォーカーであると言われるゆえんだ。

株価の動きがランダムである以上、勝負は運。したがってファンドマネジャーが運用するアクティブファンドはコスト(ファンドマネジャーに支払う報酬)が高い分だけ市場平均より成績が悪くなりがちである。

一方、長期的に見れば、株式市場全体のリターンは平均すると大体年5%くらいのプラスになってきたことが過去の統計からわかっている。

以上のことから考えると、投資家は個々の企業分析に時間を費やしたり、プロの腕前に期待してアクティブファンドに投資したりするより、市場全体を縮小コピーした低コストのインデックスファンドを買ってそのまま放置し、市場平均のリターンを取りに行く方が賢明である。

ただし、もし仮にインデックスファンドの優位性が広く世間に認識され、投資家の大多数がインデックスファンドを選択するようになると事情は変わる。そのような市場では、多くのファンドマネジャーがお払い箱になっているから、優良企業の株も無能企業の株も一律に買われて適切な株価がつかなくなる。すると今度は逆に、生き残った少数のファンドマネジャーが市場の歪みをどんどん探し出し、彼らの運用するアクティブファンドが優れた成績を収めるようになるだろう。

しかし、そのような状況は未来永劫やってこない。なぜなら、人間は「自分は他人より賢い」と考える自信過剰な生き物なので、いつの世も圧倒的多数の人々は銘柄を選定して市場平均より高いリターンを出そうとするからだ。その結果、市場は常に効率的になり(それぞれの株に適正な価格がつくようになり)、インデックスファンドの優位が続く――――。

 

要約すると大体こんな感じです。いかがですか?

敏腕のファンドマネジャーたちが朝から晩まで血眼になって株の価値を分析し、アクティブ運用を極めれば極めるほど、インデックス投資を利することになってしまうというこの皮肉。この構図を知ってしまったら、もう選択の余地はないという気分になってしまいます。

まあ、僕の拙い要約では「ストンと腹落ち」は難しいかもしれません。そういう方はぜひ実際に本書を読んでみてください。僕も今回、この記事を書くために読み返して、改めてインデックス投資の優位性を再確認させてもらいました。

それからこの本、インデックス投資の話以外にも、住宅ローンで家を購入する行為はレバレッジをかけて不動産投資をしているのと同じであるとか、投資・投機・ギャンブルの間に明確な線引きはなく、重要なのは参加者全体を合算した期待リターンがプラスなのかどうかであるとか、誰もが理解しておくべきマネーリテラシーを本当にわかりやすく教えてくれます。

ちなみに、著者の藤沢さんは計算科学の研究者から外資系投資銀行マンに転身したという経歴の持ち主だそうで、離婚や学歴を扱った新書など様々な分野の本を出版しています。





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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。

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