今回は早期退職から丸3年を迎えた現在の心境を率直に語ってみたいと思います。
ご存じの通り、僕が新聞社を辞めてリタイア生活に入ったのは2020年3月ですから、この春、記念すべきFIRE3周年の節目を迎えたわけです。
この間いろいろなことを感じる毎日でしたが、結論から言えば、リタイア生活は「快適」の一言。サラリーマンには2度と戻れないよ……と思うくらい心地よい日々を送っています。
まあ、働かずに好きなことだけやってるわけだから当たり前なんですが、世の中には「仕事を辞めたら時間を持て余して逆に不幸になってしまうのでは?」と心配する方も結構いるようなので、あえて書いておく次第です。
もちろん、お金の心配があればこんなノンキなことは言ってられませんが、ありがたいことに、今のところ資産運用と節約生活によって我が家は健全財政。心おきなくリタイア生活を楽しむことができています。
とはいえ、「快適、快適」と言うだけでは大雑把すぎるので、実際にFIREしてみて「特に良かった点」と、逆に「それほど良くなかった点」を幾つか列挙してみることにしましょう。
【FIREして特に良かった点】
① 読書量が増えた
とにかく時間があるもんだから、読んで読んで読みまくっています。
特に小説。現役時代は時間がなくてあまり読んでいなかったので、その分を今取り返している感じでしょうか。
書店に並んでいるような新作だけでなく、「いずれ読もう」と思いながらずっと手をつけていなかった一昔前の作品、若い頃に読んで大いに感動した記憶があるけど中身をすっかり忘れてしまった作品などなど、片っ端から手をつけています。
ときには、絶版になって久しいマイナー作品や、ネットで見つけた郷土出版の本をどうしても読みたくなって遠方の図書館に出かけたり、遠方の図書館から取り寄せたりすることもあります。
いや~、時間を気にせず本の世界にどっぷり浸れるというのは、ヒマ人の特権ですね。
②
健康的になった
これも時間があるおかげ。まず、寝不足と無縁になりました。
早寝早起きして毎日8時間以上寝る。この当たり前の生活ができる喜びをひしひしと感じています。
だって、新聞記者時代はいくら本人に早寝早起きの意思があっても勤務形態がそれを許してくれませんでした。宿直明けのボーッとした頭で朝刊各紙をチェックしたり、眠気と闘いながら夜間に発生した事件事故の原稿を打ったりしていたあの忌まわしい記憶を思い出すたび、今の幸せを噛みしめています。
それから運動。
記者時代も休日には体を動かすことを心がけていたけど、まとまった運動はせいぜい週1回程度でした。
それが今では月・水・金とジムで筋トレに励み、気が向けば、少し離れたスーパーへジョギングで買い物に出かけるように。近々、近所の公立体育館で開講されているキックボクシング教室にも通い始める予定です。
食事も、朝昼晩すべて自炊だから、濃い味付けや添加物を極力排した料理ばかり口にしています。
もっとも、記者時代から食生活には気を配っていたし、健康診断で引っかかることもなかったので、リタイアして病気が治ったとか、血液の数値が改善したとかいう「わかりやすい実績」は特にありません。
また、「健康には適度なストレスが必要」という説が正しいなら、今の僕の生活はリラックスしすぎていて健康的でないかもしれません。
まあ、個人的にはストレスなんて、なければないほどいいと思っていますが。
③
親と旅行するようになった
これは意外なメリットでした。
記者時代にも夏休みや正月休みはあったので、遠出することはそこそこありました。でも、それは専ら同居してる妻や子供との旅行やキャンプ。離れて暮らしている両親と一緒にどこかへ出かけるということは、大人になって以降、絶えてありませんでした。
しかし、気づいてみれば僕の両親ももう70代。元気に出歩ける時間はあまり残されていません。
そこで去年の春、母を誘って北海道を旅行したところ、母の喜びようは予想以上でした(残念ながら父は腰を痛めていたので不参加)。これに味をしめて秋は和歌山県の高野山へ。今年は富山・長野方面へ旅行しよう計画を練っているところです。
ちなみに、僕が子供と旅行に出かける時は学校のスケジュールに合わせる必要がありますが、親と一緒の旅行なら無職同士なので簡単に混雑期を避けることができます。これも早期リタイアした者の大きな特権だと実感しています。
では、「特に良かった点」はこれくらいにして、次は「それほど良くなかった点」に移りましょう。
【それほど良くなかった点】
① 思ったほど子供と遊べない
振り返ってみれば一昔前の新聞記者時代、まだ幼かった我が子と遊んでいる時が僕にとって一番楽しい時間でした。
休日のたびに子供を連れて海や山へ出かけていたし、勤務中も「なんでこの仕事はこんなに拘束時間が長くて、休みが簡単に潰れるんだ! もっと子供と遊びたいのに!」と頭の中でぼやいていました。
だから何となく、早期リタイアしたら365日子供と一緒に遊びまくる生活がやってくるような感覚でいましたが、これは錯覚でした。
僕の場合、会社を早期退職した時点で一番下の子が小学6年生。すぐに中学生になってしまい、週末は塾や部活に出かけるようになりました。
こうなると、僕の方にいくら時間があっても、一緒に遊びに出かける機会はほとんどありません。そもそも中学生になると、多くの子供は親と一緒に行動しなくなります。友達と遊んでいる方が断然面白いからです。
というわけで、現在も年に1度のキャンプくらいは一緒に出かけるのですが、せいぜいその程度。残念ですが、こればかりはどうしようもありません。
②
思ったほど友人と遊べない
これも理由は同じ。僕はヒマ人になったけど、友人たちは今もバリバリ働いているから時間がないというわけです。
それでも昨夏は、大学時代の友人に長期休暇を取ってもらい、伊豆諸島へ釣り旅行に出かけようと計画しました。ところが、直前になって彼が新型コロナに感染してしまい、あえなく1人旅に切り替える羽目になりました。(それはそれで面白かったのですが……詳しくはこちらの記事をご覧ください。)
友人たちが早く仕事を辞めて僕と同じヒマ人になってくれますように、と日々祈っているのですが、残念ながらみんな仕事に生きがいを感じているようで、まだまだ願いはかないそうにありません。
強いてFIREのデメリットを挙げるなら…
以上、大体こんな感じです。
「それほど良くなかった点」も一応挙げてはみましたが、はっきり言って大した問題ではありません。要は、自分1人でも熱中できるものがあればOKということです。
FIREを達成した多くの先輩方がブログやYouTubeで発信している通り、僕の場合も「メリットはたくさん感じるけど、デメリットは特に感じない」というのが正直なところです。
強いてFIREのデメリットを挙げるとすれば、僕が家にいることが多くなった分、夫婦げんかが増えたということでしょうか。
けんかの種は大体が家事のことです。仕事を辞めて以降、僕としては頑張って食事作りや掃除に励んでいるのですが、妻の目から見ると特に掃除がダメダメらしくて、よく文句を言われます。
なので、これからFIREする方には「しっかり家事能力をつけて」とアドバイスしたいです。
それからもう一つFIREのデメリットを挙げるなら、「ストレスへの耐性が低くなってしまった」ということでしょうか。冒頭にも書いた通り、この生活に馴染んでしまった以上、もう2度とサラリーマンには戻れないだろうと思います。
まあ、人生一度きりなんだから、それはそれでいいでしょう。