利率上昇! 国債購入が視野に入ってきた

2023/01/10

個人向け国債

 

個人向け国債の利率上昇によって、ポートフォリオに日本国債を加える選択肢が視野に入ってきた−−−。今回はそんな話をします。

これまで投資先としてほとんど魅力を感じなかった日本国債ですが、2月に発行される個人向けの変動金利型10年国債(略称は「変動10」、募集期間は1月1031日)の利率が、0.33%と前月の倍近くに上昇。

これをみて「安全資産として保有するのもアリなのでは?」という気がしてきました。

というわけで、ネット銀行の高金利定期預金などと比較しつつ、その利用価値を検討してみます。

また、各証券会社の国債購入キャッシュバックキャンペーンも見比べて、最も賢い買い方を考えてみます。

 



ネット銀行の金利を抜いた

最初に、国内の銀行が2023年1月現在で提供している主な円預金の利率と、財務省が1月6日に発表した個人向け国債の利率を一覧で示しておきます。

(カッコ内は1000万円預けた場合の1年当たりの税引前利息の金額)

 

・3大メガバンクの普通預金 0.001%(100円)

・3大メガバンクの定期預金 0.002%(200円)

あおぞら銀行の普通預金  0.20%(20000円)

SBI新生銀行の定期預金 0.30%(30000円)※1年もの

UI銀行の定期預金      0.30%(30000円)※1~3年もの

オリックス銀行の定期預金 0.35%(35000円)※7年もの

・固定金利型3年国債    0.05%(5000円)※2月発行分

・固定金利型5年国債    0.18%(18000円)※2月発行分

変動金利型10年国債   0.33%(33000円)※2月発行分

 

いかがでしょうか。

高金利で知られるネット銀行の目玉商品をざっと並べてみましたが、変動10の利率は、これらの預金金利をほとんど追い抜いてしまうことになります。

これを見たら、多くの人が僕と同じように「国債、買ってみようかな……」と思うのではないでしょうか。

 

3年前はネット定期の圧勝だった

資産運用においては、まず、「リスク資産」と「安全資産」の配分割合をおおまかに決め、それぞれどういうもので運用していくかを考えるのが基本です。

リスク資産というのは株式やREITなど、高いリターンが期待できるけど、下手したら元本割れするかもしれないというもの。いわば攻めの資産です。

それに対し安全資産というのは預貯金や国債など、高いリターンは期待できないけど、元本割れリスクが無いもの。こっちは守りの資産です。

(厳密に言えばインフレによって実質価値が目減りするリスクは存在しますが、今回はとりあえず無視します。)

僕の場合、リスク資産は主に全世界株式や米国株式のインデックスファンドで運用。一方、安全資産はこれまで主にネット銀行の円定期預金を利用してきました。

なぜ、国債は選択肢にならなかったのかというと、僕が資産運用を始めた2020年当時、変動10の利率はわずか年0.05%だったからです。これは「世の中がどんなに低金利になっても、この利率は保証します」と財務省が約束している最低ラインです。

その点、ネット銀行の定期預金なら当時、3~5年もので年0.3%前後の利率を提供しているケースがチラホラありました。

そんなわけで、僕は2020年にオリックス銀行で大口の5年定期を、2021年にSBJ銀行で大口の3年定期を、それぞれ数本ずつ組みました。利率はいずれも年0.35%です。

(両行とも現在は新規の定期預金の金利設定を変更しています。)

 

定期預金の弱点

ただ、定期預金には弱点があります。

ひとつは、世の中の金利が上昇に転じた時にうまく対応できないという点です。

「もっと高金利の運用先が登場したから乗り換えよう」と考えて途中解約すると、元本割れこそしませんが、受け取れる利息が極端に少なくなって、それまでの預け入れ期間を無駄にしてしまいます。

もうひとつの弱点は、銀行倒産時のリスクです。

ご存じのように、日本では銀行が経営破綻しても、預金者1人につき「1千万円までの預金元本とその金利」は預金保険機構が保護してくれることになっています。しかし、それを超える分は手元に戻ってこない恐れがあります。

だから、とことん安全性にこだわるなら、複数の銀行に預金を分散して1行あたりの預入額を1千万円以下に抑えないといけません。

しかし、多くの銀行で口座開設手続きをするのは面倒だし、パスワード管理などが煩雑になります。そもそも超低金利時代に年0.3%前後の金利を提供している銀行はそう多くありません。

このため、僕はやむなく「銀行がそう簡単に破綻することはないだろう」と自分を納得させて、上記2行にそれぞれ預金保護の上限を超える大金を預けてきました。

 

変動10の利点

ところが、ここにきて情勢が変わりました。

実は、2022年の初めごろから変動10の適用金利はジワジワと上昇し始めていました。もっとも、上昇幅は微々たるもので、今年1月発行分の初回適用利率はまだ0.17%にとどまっていました。

しかし、昨年末に日銀の黒田総裁が金融緩和路線の事実上の修正を表明したことで状況は一変。2月に発行される変動10の利率は、一気に0.33%へ急上昇しました。

日本経済新聞によると、この0.33%という数字は20158月以来の高水準だそうです。

僕が利用している定期預金の利率にはまだほんの少し及びませんが、銀行の破綻リスクを考えれば、これまでの利息を多少無駄にしても定期預金の一部を解約して変動10に乗り換える価値はあるような気がします。なんといっても国債は、日本が国家破産しない限り元本が保証されているわけですから。

また、変動10と定期預金を比較すると、変動10の方が優れていると思われる点が他にもいくつかあります。ざっと挙げてみます。 

・満期まで待たなくても半年ごとに利子を受け取れる。

・半年ごとに利率が見直されるので、今後さらに金利の上昇圧力が強まれば、その波に乗っていける。(もちろん、逆に利率が下落する可能性もある。)

・購入から1年たてば柔軟に中途換金できる。(全部換金も一部換金も可能。定期預金と違って、もらえなくなるのは、直前2回分の利子だけ。)

 う~ん、考えれば考えるほど、定期預金の一部を国債に変えておきたくなってきました。

 

各社の現金プレゼント額を比較

では、国債を購入する場合、どこの金融機関で買うべきかを考えてみましょう。

インターネットで情報収集してみると、現在、店舗型の大手証券会社4社(野村・大和・みずほ・SMBC日興)とネット証券大手の SBI証券が、個人向け国債の購入者に対する現金プレゼントキャンペーンを実施しているとのこと。

そこで、変動101000万円購入した場合に受けられる各社のプレゼント額を比較してみました。以下がその結果です。 


野村証券     現金14000

大和証券     現金14000

みずほ証券    現金14000

SⅯBC日興証券 現金14000円+Ⅴポイントギフト2000円分

SBI証券    現金10000 


これは意外な結果でした。

店舗型証券会社4社のプレゼント額がSBI証券を上回って横一線。ポイントを含めるとSMBC日興証券がトップとなりました。

僕は今まで国債購入を検討したことがなかったので知らなかったのですが、個人向け国債の大口購入ではネット証券会社より店舗型証券会社の方が特典が充実しているようです。

(ただし、購入額が50万円以上100万円未満なら現金プレゼントがあるのはSBI証券のみ。購入額が100万円以上300万円未満ならプレゼント額は5社とも同じ。購入額が300万円以上になると店舗型証券会社4社のプレゼント額がSBI証券を上回るようになります。)

残念ながら、僕は店舗型証券会社の口座を持っていません。新たに口座開設の手続きをするか、それとも、プレゼント額の差には目をつぶって、すでに口座を持っているSBI証券で国債を購入するか、いましばらく考えてみようと思います。

なお、冒頭にも書きましたが、2月発行の変動10の募集期間は1月10日から1月31日までとなっています。

〈追伸〉

迷った末、SBI証券で国債を買うことにしました。これ以上、口座を増やしたくなかったもので。

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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。

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