付加年金はコスパ最強の先行投資

2023/02/16

国民年金 資産運用

みなさん、「付加年金」って知ってますか?

国民年金の保険料をほんの少しだけ上乗せして払っておくと、将来の年金受給額がアップする、しかもその効果が死ぬまで続く、という制度です。

僕は45歳で早期リタイアして以降、いろんな資産運用法や社会保険制度を勉強してきましたが、この付加年金の仕組みを知った時は驚きました。

一言でいうと「受給開始後2年で元が取れ、あとはひたすら利益が積み重なっていく」といった感じ。正直、これほどコスパのいい先行投資は滅多にないと思います。

なのに、どういうわけか世の中の人々にあまり知られないない。というわけで今回は、この付加年金の仕組みを紹介します。


毎月400円を余分に払う

まずお断りしておくと、この制度はサラリーマンや公務員などの勤め人(国民年金の区分で言うところの2号被保険者)は使うことができません。また、サラリーマンや公務員に扶養されている専業主婦や専業主夫(3号被保険者)も同じく使うことができません。

この制度を使うことができるのは1号被保険者、つまり、自営業者、フリーランス、無職といった人々です。もちろん、僕のようなアーリーリタイア民も使うことができます。

(このほか、60歳以上で国民年金に任意加入している人も利用できます)



それでは付加年金の仕組みを説明していきましょう。

ご存じの通り、1号被保険者の人々は20歳から59歳までの間、住んでいる町の役所を通じて毎月16590円(2022年度現在)の国民年金保険料を納めることが義務付けられています。

付加年金を希望する人は役所で手続きをして、この保険料に毎月400円を上乗せして支払うことになります。この上乗せ分を「付加保険料」と言います。

この付加保険料は、20歳から59歳まで40年間フルで払い続けてもいいし、懐具合に応じて一部の期間だけ払っても構いません。

で、65歳になって年金受給が始まると、国民年金の本体部分に上乗せする形で付加年金をもらうことができるようになります。

問題は上乗せされる金額ですが、次のように算出されます。

1年間の付加年金=200円×過去に付加保険料を払った月数

要するに、これまで払ったトータルの付加保険料の半額を毎年の年金に上乗せしてくれるわけです。

受給開始2年で元が取れる

ちょっとシミュレーションしてみましょう。

例えば、僕が50歳から10年間だけ付加保険料を払ったとします。

この場合、トータルの負担額は、400円×12ヶ月×10年間=48000円。

これに対し65歳から毎年もらえる付加年金は、48000円÷2=24000円。

ということは、2年間受け取ることができれば(つまり67歳まで生きることができれば)、もうその時点で「元を取った」ことになります。

もし僕が75歳まで生きたらトータルの受給額は24万円。先行投資した48000円が5倍になって返ってきたことになります。

85歳まで生きたら10倍、95歳まで生きたら15倍……。いかがでしょう。平均寿命から考えても、かなり勝率の高い投資だと思いませんか。

一般的に、国民年金の本体部分は「元を取るのに10年くらいかかる」と言われています。つまり、75歳くらいまで生きたところで、ようやく支払った保険料の総額と受け取った年金の総額がトントンになるということです。それでも、民間の年金保険などに比べればずっとお得だと言われています。

そう考えると、2年で元が取れるこの付加年金が、いかにコスパに優れているかということがわかるでしょう。

インフレには弱い

ただし、この制度にも弱点はあります。

一つは、物価スライド機能がないという点。

ご存じのように、国民年金の本体部分は、世の中の物価が上下すればそれに応じてもらえる金額が変動する仕組みになっています。

しかし、付加年金の金額は物価に関係なく固定されています。なのでインフレが進むと実質的な価値は目減りしてしまいます。

とはいえ、仮に物価が1.5倍になったとしても3年受け取れば(つまり68歳まで生きれば)元は取れます。物価が2倍になっても4年受け取れば(69歳まで生きれば)元は取れます。

だから、損する可能性は極めて低いと思っていいでしょう。



付加年金の弱点をもう一つ挙げるなら、スケールが小さすぎるということでしょうか。

先ほどのシミュレーションでもわかる通り、月々に払い込む付加保険料がわずか400円なので、10年続けたところで年金の上乗せ額は24000円にしかなりません。

正直、この金額では老後の家計を大きく改善するインパクトはありません。

やはり、老後の備えを考えるなら、インデックス投資などの資産運用をメインにしつつ、それを補う形で年金もできるだけ上積みしておくという心構えで取り組むべきでしょう。

FIREしたらぜひ使おう

以上、付加年金の長所と短所を見てきましたが、総合的に考えて利用しない手はないというのが僕の結論です。

FIREを計画しているサラリーマンの方には、会社を辞めて厚生年金から国民年金に切り替えるタイミングで、付加保険料の支払いをスタートすることをお勧めします。

それでは、そういう方々のために、これまで書いた以外の付加年金の特長を補足しておきますので参考にしてください。

  • 国民年金を繰り上げ受給すると(受給開始時期を65歳より前倒しすると)、年金本体だけでなく付加年金も減額される。
  • 逆に、国民年金を繰り下げ受給をすると(受給開始時期を65歳より後倒しすると)、年金本体だけでなく付加年金も増額される。
  • 付加保険料をまとめて前納すると割引を受けられる。
  • 払った付加保険料は、国民年金保険料や国民健康保険料と同じく、確定申告の際に社会保険料控除として節税に役立てることができる。
  • 国民年金の免除制度を利用している人、国民年金基金に加入している人、iDeCoの掛け金が68000円に達している人は利用できない。(国民年金の免除制度の詳細はこちら
大体こんなところでしょうか。より詳しく知りたい方は日本年金機構のHPもご覧ください。


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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。

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