これで税金ゼロ! iDeCo出口戦略の必殺技

2024/06/28

iDeCo

今回は「idecoの出口戦略」について考えてみようと思います。

このブログでこれまで何度も指摘した通り、ideco(個人型確定拠出年金=イデコ)というのは現役サラリーマンにとって大きな節税効果をもたらしてくれる制度ですが、デメリットもたくさんあります。

その中でも特に大きいのが出口の問題。つまり、老後にイデコ口座からお金を引き出すときに課税されてしまう、という点です。しかも、運用益の部分だけに税金がかかるんじゃなくて、引き出したお金全体を所得とみなして課税するという結構ひどい仕組みになっています。

要するに、idecoの本質というのは〈非課税〉ではなく〈課税の先送り〉なんです。

もちろん、この出口の課税については様々な優遇措置が設けられています。例えば、一時金としてまとめて受け取る場合は、退職所得控除を使って課税対象となる金額を圧縮することができます。うまくいけば、これで税金はゼロになります。

しかし、みんながみんなうまくいくわけではありません。一例を挙げるなら、idecoに掛金を積み立てていた年数が短い場合です。

というのも、退職所得控除というのは勤続年数に応じて控除額が決まります。具体的に言うと、勤続年数が長いと控除額は大きく、勤続年数が短いと控除額は小さくなります。

これと同じで、idecoも掛金を積み立てていた期間が短いと、あまり控除を受けることができないんです。45歳でFIREした僕などは、まさにこのケースに当てはまります。

というわけで、この記事では僕自身を例にとりながら、イデコの効率的な出口戦略をとことん突き詰めて考えてみようと思います。

現在、企業型確定拠出年金(企業型DC)やイデコを利用していて、将来FIREしたいと考えてるサラリーマンの方にとっては格好のケーススタディになるはず。記事の後半では、多くの人が利用できそうな「必殺技」も紹介しますので、ぜひ最後まで読んで下さい。




僕の確定拠出年金プロフィール

まずは僕のイデコ歴(というか確定拠出年金歴)を説明しておきましょう。

サラリーマンだった僕が企業型DCに加入したのは39歳のときでした。ちょうどこの年、勤務先の新聞社が確定拠出年金制度を導入したからです。

以来、45歳で早期退職するまでの6年間、毎月の給料から天引きする形で掛金を積み立て続け、トータルで183万円をDC口座に入れました。ちなみに、そのころの僕は節税には関心があったけど投資に無関心だったから、積み立てたお金は全て元本保証の定期預金にしていました。なので、この間は含み益も含み損も生じていません。

そして2020年、僕は45歳で新聞社を早期退職。これに伴って企業型DCを脱退し、新たに楽天証券で開設したイデコ口座にこの183万円を移しました。

さすがにこのころになると、僕も「投資やんなきゃ」というマインドに切り替わっていたので、この183万円は全て低コストのインデックスファンドである「たわらノーロード先進国株式」で運用することにしました。(※本当はeMAXIS Slim全世界株式やeMAXIS Slim米国株式を買いたかったのですが、楽天証券のイデコではこれらの商品を取り扱っていません)

ただし、リタイアして給与収入がなくなった以上、イデコに新たな掛金を積み立てるのは全く割にあわないと判断し、この時点で積み立てはストップしました。(こう判断した理由はこちらの記事で詳しく説明しています)

それから4年余り。

世界的な株高の波に乗ってイデコ口座で運用する僕の資産は膨らみ続け、現在は501万円に。トリプルバガーが目前に迫ってきました。


もちろん、これ自体は喜ばしいことなのですが、「こんなに増えてしまったら、将来受け取るときに税金を取られる羽目になるんじゃないだろうか」と心配になってきます。

こうして僕はイデコの出口戦略を真剣に考えるようになったのです。


一体いくら税金を取られるのか

ではここで、仮にこの状態で僕が60歳を迎え、イデコ口座の資産を一時金として一括で受け取った場合の税金をシミュレーションしてみましょう。

イデコの運用資産を一時金として受け取ると、税法上は「退職所得」として扱われます。その場合の税金計算はこうなります。


税金=(受け取り額−退職所得控除額)÷2×税率


つまり、「(受け取り額−退職所得控除額)÷2」の部分が、課税対象となる退職所得になるわけです。

ここで重要なのは、退職所得控除額がどのくらいになるかです。すでに書いた通り、その控除額は、通常の退職金であれば勤続年数、イデコの一時金であれば掛金の積み立て年数に応じて決まります。具体的には国税庁HPから引用した次の表を参照下さい。

(※クリックしたらくっきり見えます)



少し補足しておくと、1日とか1カ月とかいった1年未満の端数は切り上げてカウントできます。また、企業型DCからイデコへ移行した人は、企業型DC時代の積み立て年数もカウントできます。それから、この計算式で算出された金額が80万円未満だった場合は控除額は80万円になります。

僕の場合、掛金を積み立てていた期間は企業型DC時代の6年間だけなので、退職所得控除額は40万円×6=240万円ということになります。

ただし、話はそう簡単ではありません。

退職所得控除には「19年ルール」と呼ばれる縛りがあります。

これはどういうものかというと、サラリーマンが退職所得控除を使って退職金を受け取り、その後でイデコの一時金を受け取る場合、あいだに19年の期間を挟まないと退職所得控除をフル活用できない、というルールです。

僕の場合、45歳で早期退職したときに会社から高額な退職金をもらいました。当然そのときに退職所得控除も目いっぱい活用しています。 なので、再び退職所得控除をフル活用しようと思えば、19年の期間を挟むために65歳まで一時金の受け取りを待つ必要があるのです。

では、65歳まで待ったという前提で税金を試算してみましょう。

受け取り額は501万円、退職所得控除額は240万円ですから、計算式に当てはめるとこうなります。


(501万円−240万円)÷2×税率


つまり、課税対象となる退職所得は150万5000円。そこに税率をかけて税金を算出するわけです。

というわけで、ここからは税率の説明をしましょう。

関係してくる税金は住民税・所得税・復興特別所得税の3つです。

まず住民税ですが、これは一律10%なので、税額は15500円です。

次に所得税ですが、こちらは課税対象所得の大小によって税率が変化します。再び国税庁HPから一覧表を引用します。

僕の場合、課税対象となる退職所得は150万5000円なので税率は5%。従って所得税は65250円となります。

最後は復興特別所得税です。これは所得税の2.1%にあたる金額ということなので、6万5250円×2.1%=1370円となります。

つまりトータルの税金は…


住民税15500円+所得税65250円+復興特別所得税1370円=197120円


みなさん、この結果をどう受け止めますか?

僕は正直、「勘弁してくれよ」って感じました。

税金優遇制度とか言ってるけど、結局20万円近くも取られるのか。しかも、口座管理料とかの名目でバカ高い手数料を延々払い続けた末に、です。

(※イデコ手数料の問題点についてはこちらの記事で詳しく考察しています)

思わず「イデコのバカヤロー!」と叫びたくなるところですが、もちろん、これで話が終わるわけではありません。


驚くべき必殺技

実は、あまり知られていないけど、イデコの出口戦略には「必殺技」と呼びたくなるような驚くべきアイデアが存在するのです。僕は今から数カ月前、その方法をX(旧Twitter)に流れていたあるポストで知りました。それがこちら↓


(Xで直接ご覧になりたい方はこちら


な、なるほど!

これは僕にとって目からウロコの名案でした。



イデコには、一時金として受け取る方法のほかに、年金として複数年(5~20年)に分割して受け取る方法があります。その場合は国民年金や厚生年金と同じく「雑所得」という扱いになって、やはり税金がかかるのですが、ここでも優遇措置として公的年金等控除というのが用意されています。

この公的年金等控除を使って年金収入から差し引くことができる金額は、65歳未満の場合は60万円、65歳以上の場合は110万円。つまり、その年の年金収入が110万円以下(65歳未満なら60万円以下)であれば、税金をゼロにできるわけです。

ただ、多くの人は65歳から国民年金や厚生年金を受給し始めるので、これにイデコ年金が加わると、公的年金等控除ではどうしても枠が足りなくなってしまいます。なので、一般的にイデコを年金形式で受け取ることは税制上あまり推奨されていないのです。

しかし!

さきほどのポストで山谷人生さんが指摘している通り、国民年金の繰り下げ受給と組み合わせると話は全く違ってきます。

例えば、国民年金の受給開始年齢を通常の65歳から70歳へ遅らせれば65~69歳の5年間は公的年金控除をイデコのためだけに使うことができます。これだけで110万円×5年=550万円のイデコ資産を税金ゼロで受け取ることができるわけです。

(※ここに基礎控除を加えればさらに効果は広がりますが、基礎控除は株式の配当収入や副業収入に対して使う人もいると思うので、ここでは無視して考えることにします)

さらに言えば、イデコのルールでは、一時金方式と年金方式の両方を組み合わせて受け取ることも可能になっています。例えば「まず100万円を一時金で受け取り、残りを年金で受け取る」みたいな感じです。

以上のことを考え合わせると、僕にとって最適なイデコの出口戦略はこうなります。



ベストアンサーはこれだ!

まず、65歳になった時点で、イデコ資産のうち240万円を一時金として受け取り、退職所得控除で税金をゼロにする。

同時に、国民年金の受給開始年齢を70歳に遅らせ、残り261万円のイデコ資産を65~69歳の5年間に年金方式で受け取る。

こうすれば1年当たりの年金収入が52万円程度に抑えられるので、公的年金控除の範囲に楽々収まり、税金を1円も発生させることなく全てのイデコ資産を回収することができます。

時系列にするとこんな感じです。


65歳 一時金240万円+年金52万円

66歳 年金52万円

67歳 年金52万円

68歳 年金52万円

69歳 年金52万円

(※実際にはこの間も運用が続いているので、毎年の受け取り額は多少変動します)


いや~、これにて一件落着じゃないですか。

山谷人生さん、ありがとう。

(※イデコの資産を受け取る際には1回当たり440円の手数料を取られます。なので、年金形式で受け取ると何度も手数料を取られる羽目になってしまうのですが、税金に比べると額は小さいのでとりあえず我慢することにします。


イデコ資産がさらに増えていたら

なお、僕が65歳を迎えるころには、外国株インデックスファンドで運用している僕のイデコ資産は、現在の501万円よりもずっと大きく成長している可能性が高いと思います。その場合は国民年金の受給開始年齢を最大75歳まで遅らせて対応すればOKでしょう。

例えば、イデコ資産が1300万円になっていたらこんな感じ。


65歳 一時金240万円+年金106万円

66歳 年金106万円

67歳 年金106万円

68歳 年金106万円

69歳 年金106万円

70歳 年金106万円

71歳 年金106万円

72歳 年金106万円

73歳 年金106万円

74歳 年金106万円


いかがでしょう。このくらいの金額までなら、なんとか税金ゼロで回収できそうです。

いや~、めでたし、めでたし。

……と気分よく記事を締めたいところですが、最後に少しだけ毒を吐かせて下さい。

ここまで読んでくれた方なら実感していただいていると思いますが、イデコの出口戦略ってあまりにも複雑すぎませんか?

なんで税金をゼロにするために、こんなに回りくどい受け取り方をしなきゃいけないの?

なんで利用者1人1人が「僕の場合はどうすべきなの」と悩みながら、こんな面倒くさいシュミレーションをしなきゃいけないの?

国民にこんな手間を取らせるくらいなら、最初から一律非課税で受け取れるようにしてくれればいいじゃん……と、僕なんかは感じてしまいます。

以前このブログで指摘した手数料の闇もそうだけど、イデコというのは本当に課題多き制度です。

厚生労働省の官僚のみなさん、金融庁の新NISAを見習って、イデコをもっと公正で使い勝手の良い制度に改めてくれませんか。よろしくお願いします。

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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。

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