ウツボ戦記(下)~完結編

2024/06/15

旅・アウトドア


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式根島の海で僕の獲物をひったくりにきた海のギャング。

その獰猛さに戦慄しながらも、咄嗟に「こいつを捕獲してやろう」と決意した僕。

人間 vs ウツボの物語は、いよいよ佳境に入ってきました。   


(※最初から読みたい方はこちらへ)


さて、ここから始まる僕とウツボの決戦を再現するにあたって、ある資料を活用させていただきます。それはこの戦いの翌日、僕が友人のG君へ送ったLINEメッセージです。

前にも書きましたが、この式根島遠征には当初、釣り好きのG君も参加する予定でした。しかし出発直前になって彼が新型コロナに感染し、参加できなくなりました。そこで僕は島に滞在している間、自宅療養中のG君へ毎日のようにLINEで釣果を連絡していたのです。

つまり、これからご紹介するLINEメッセージは、ウツボとの戦いを終えた僕が、興奮冷めやらぬうちに友人へ打電した戦果報告だと思って下さい。

(※僕らの本名が記された部分は身バレ防止のため黒塗り加工しています。また、僕とG君はともに四国出身なので、会話の中には当地の方言が含まれています。ひょっとしたら意味の分かりにくい部分があるかもしれませんがご容赦下さい)


一挙公開! 死闘再現LINE



 



ここで補足説明。袋タイプのバケツというのは、こういうやつのことです。


この中に、絡み合った大小2匹のウツボを団子状態のままドサッと放り込んだわけですね。こんな感じで。(※画像をクリックするとくっきり見えます)




まさに不測の事態からの大逆転勝利!

……と思いきや、これで終わりではありませんでした。




……みなさん、僕が言うのもなんですが、この話信じられますか?

正直、この僕も自分自身が体験したことでなかったならば、「そんなのあり得えないでしょ?」とツッコミを入れてるんじゃないかと思うくらいです。

だって、人間の手でバケツに放り込まれ、ヘビのように体をくねらせて海の中へ逃れたウツボが、その直後、目の前にぶら下げられた獲物に再び喰いついてきたんですよ。

暴走する本能

僕はいまだに、あのときのウツボの思考回路が理解できません。

あらゆる動物にプログラミングされているはずの「危険を回避する」という本能に、何らかのバグが生じて暴走してしまったのか?

あるいは、食物連鎖の最上階に君臨するウツボは、進化の過程でそのような本能を「必要ない」と捨て去ってしまったのか?

いずれにせよ、ヤツが再び獲物に喰いついてきたのは紛れもない事実です。

もちろん、僕にとっては願ってもない展開でした。はやる気持ちを抑えつつ、じっくりと獲物を飲みこませ、再び2匹が団子状態になったところでロープを引き上げてバケツに放り込みました。

もちろん、同じ過ちを2度繰り返すわけはありません。間髪入れずにバケツの口を塞ぎ、両手でギュッと押さえつけました。

さて、ここから先は少々凄惨な場面となりますので、そのつもりで読み進めて下さい。





さすがに僕も、この場面をイラストで再現する勇気はありません。

ここまでくると、もはや「釣り」というより「果し合い」です。LINEの中にも書いてますが、誰かがこのときの僕の行動を目撃していたら、きっと正気を失っていると思ったことでしょう。

死闘の果てに

ともあれ、戦いは終わりました。

人影もまばらな夏の終わりの海岸で、僕は一人、勝利の雄叫びをあげました。そのときセルフタイマーで撮影した記念写真が、この記事の冒頭に掲げた画像です。

せっかくだから、もう一度掲載しておきましょう。


身バレ防止のため顔の一部を黒塗りしているのでわからないと思いますが、あれほど凄惨な行為をした直後だというのに満面の笑み。よほど大量のアドレナリンが分泌されていたのでしょう。

そして、2匹を宿に持ち帰って料理する前に撮影した写真がこちら。


小さい方のウツボの尻尾についている傷は、大きいウツボの噛み跡。大きいウツボの頭付近についている傷は、石による打撃痕です。

体長を測ってみると、大きい方が70cm余り、小さい方がちょうど50cmでした。はっきり言って、ウツボ釣りの得意な方からすると「大したことないな」と感じるサイズでしょう。

正直、僕自身も「え、そんなもんなの?」と拍子抜けしてしまいました。というのも、ウツボと戦っている最中、僕は相手が1m級の大物だと思い込んでいたからです。

人間は恐怖に支配されると相手が大きく見えるといいます。恐らく、このウツボの常軌を逸した猛々しさに戦慄するあまり、実際よりずっと大きく見えていたのでしょう。

というわけで、「1m級の大物を捕獲する」という僕の目標は、残念ながら今回も達成できませんでした。正直、この戦いで精魂尽き果て、この旅行中はもうウツボを狙う気になれませんでした。

ちなみに、この翌年(2023年)、僕はトカラ列島の小宝島でもウツボ釣りにトライしたのですが、ここでは大型の釣り針をへし折られるという、これまた信じがたい体験をして、またしても目標達成は叶いませんでした。


いや~、どこまでも奥の深いウツボ釣り。

そして、どこまでも手強い「海のギャング」、ウツボ。

これからも手製の仕掛けに改良を重ね、いつか1m超えの大物を捕獲してみなさんに報告したいと思います。どうか期待して待っていて下さい。



そらから最後にもう一つ。

僕がここまでウツボに執着する理由は、実はライバル心だけではありません。

この魚、見かけによらず美味しいんです。小骨が多く、皮がめちゃくちゃ丈夫なので、さばくのがとてもしんどいのですが、ウナギの仲間だけあってその味は絶品です。

というわけで、これまでに僕が作ったウツボ料理を紹介しながらお別れしようと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


ウツボの塩焼き

ウツボのアラ汁

ウツボの唐揚げ

トラウツボの味噌煮込み丼

〈おまけ〉ウツボの顎の骨

(おしまい)



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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。ただいま49歳。

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