財務省が本日、今月募集する個人向け国債(変動10)の初回適用利率を0.61%(税引き後0.4860785%)にすると発表しました。前月から全くの横ばい。日銀が政策金利を引き上げたにもかかわらず、国債金利は伸び悩んでいます。
募集期間は9月5~30日。発行日は10月15日です。
(→財務省の発表資料はこちら)
変動10の金利は、日銀による「異次元の金融緩和」の影響で長らく最低ラインの0.05%が続いていましたが、2021年の秋ごろからジリジリと上がり始め、2023年11月には0.60%まで上昇。その後、一時伸び悩んでいましたが、今年3月に日銀の植田総裁がマイナス金利の解除を発表したことで上昇基調を取り戻し、7月には0.72%まで上昇しました。
日銀はさらに7月末、政策金利を0.25%程度にする追加利上げを決定。これに伴って変動10の金利もさらに上向くかと思われたのですが、8月は逆に0.61%へ下落。続く9月も金利上昇はありませんでした。
変動10ホルダーの僕にとっては非常に歯がゆい状況が続いています。
参考までに、ここ数年の変動10の金利の推移をグラフで示しておきましょう。
(画像をクリックするとくっきり見えます)
世間では「金利のある世界が戻ってきた」なんて言われているけど、この程度の利率で低迷しているようでは、いかに安全資産置き場だといっても魅力を感じにくいですね。個人的には、せめて利率1%は超えてほしいところです。
最もマシな安全資産置き場はどこか
ではここで、いつものようにメガバンクの金利や、高金利をウリにしている主なネット銀行の金利と比較して、「今の日本で最もマシな安全資産置き場はどこか」を考えてみましょう。
(データは9月4日現在。利率はいずれも税引き前の数字。新規口座開設者限定のキャンペーン金利も含まれています)
3大メガバンクの普通預金 0.1%
3大メガバンクの定期預金 0.125% ※1年もの
あおぞら銀行の普通預金 0.20%
東京スター銀行の定期預金 0.55% ※1年もの
個人向け国債(変動10) 0.61% ※9月募集分
オリックス銀行の定期預金 0.70% ※1年もの
SBJ銀行の定期預金 0.80% ※5年もの
いかがでしょう。
変動10の利率が伸び悩む一方、メガバンクやネット銀行の間ではここ最近、日銀の政策転換に歩調を合わせて預金金利を引き上げる動きが活発化しています。
少なくとも現時点では、オリックス銀行やSBI新生銀行の1年定期の利率が、変動10のそれを上回っています。まあ、とは言っても、いずれも1%未満のドングリの背比べ状態ですが。
というわけで、今の日本で最もマシな安全資産置き場はどこかと問われれば、個人向け国債(変動10)or オリックス銀行やSBI新生銀行の1年定期、といった選択になりそうです。
なお、SBJ銀行の定期預金は0.80%という最高水準の利率を設定していますが、これは5年ものなので期間が長すぎ。恐らく今後5年の間に世の中の金利はもっと上がるだろうと僕は思っているので、この利率で5年定期を組もうとはあまり思いません。