FIRE民は金融資産課税にどう備えたらいいの?

2023/12/10

税金

金融資産をたくさん貯めている人には医療費や介護費をより多く負担してもらおう――――。

日本政府が高齢世代を対象にこんな社会保障改革を検討し始めるというニュースに対し、「事実上の金融資産課税じゃないか」と憤る声がSNS上に渦巻いています。



もちろん、この僕も憤っている1人です。

その理由は前回の記事でさんざん書いたのでここでは繰り返しませんが、確実に言えることは、金融資産税が導入されれば「若いうちに全力で資産形成し、早めにリタイアして悠々自適に暮らす」という人生設計(すなわちFIRE)が、今よりずっと実現困難になってしまうということです。

でも、こんなふうにいくら文句を言ったところで、実際に法律が改正され、金融資産に応じた負担制度が導入されてしまえば従うしかありません。

じゃあせめて、どんな対策ができるのか?

今回はそれを考えてみようと思います。



SNSに飛び交う資産税対策案

結論から言うと、僕に妙案はありません。

なので、SNS上を飛び交っている様々な声の中から、参考になりそうなものを拾ってみることにします。














なるほど、みなさん早速いろいろ考えているようです。ざっと整理してみるとこんな感じでしょうか。

①金融資産を現物資産(不動産やゴールド)に替える

②金融資産を暗号資産(仮想通貨)に替える

②金融資産を口座から出してタンス預金にする

③法人を設立して自分名義の金融資産を法人名義にする

④子供に生前贈与して自分名義の金融資産を減らす

う~ん、これらの対策がどのくらい有効なのか、素人の僕にはなかなか判断が難しい。でも、せっかくなので素人感覚で無責任に論評してみます。


①現物資産に替える

恐らく、大多数の人が真っ先に思い浮かべる対策がこれでしょう。

一般的に金融資産というのは、現金・預貯金・外貨預金・株式・債券・投資信託・貯蓄型保険などを指します。これらが負担増のターゲットにされるのなら、不動産やゴールドに変えてしまえばいいというわけです。




ただ、配当収入で生計を立てていこうと考えて高配当株を大量に積み上げていた人の場合、株を売ってマンション経営にシフトチェンジするなど、FIRE計画の大幅な変更を強いられることになりかねません。これは結構なダメージでしょう。

僕のようにインデックスファンドを積み上げている人も同様です。

そして何より、金融資産を不動産に変えてしまえば、固定資産税という「すでにある資産課税」の対象になってしまいます。

この点では、まだゴールドの方が筋がいいような気がしますが、こちらは不動産と違ってインカムゲイン(定期収入)を生み出さないというい欠点があります。

さらに言えば、この現物資産作戦には大きな懸念があります。それは、今回政府が示した改革案の資料には「金融資産の保有状況」という文言が使われている点です。



重要なのは「等」が付いている点です。

これってつまり、金融資産以外の資産も負担増の対象に含まれる可能性があるってことじゃないでしょうか。

考えてみてください。

もし仮に「預貯金や株を持っていたら負担増の対象になるけど不動産は対象にならない」という話になったら、さきほどのSNSの声が指摘していた通り、政府が国民に「株を売って家を買え」と圧力をかけているのと同じです。当然、株価は下がり、反対に不動産価格は高騰するでしょう。

はっきり言って、こんな不動産所有者優遇の不公平な改革がすんなり通るとは思えません。恐らく今後、改革の中身を詰めていく段階で、「等」の中に何を含め、何を含めないかが大きな議論になってくると思います。

というわけで、現物資産作戦が有効かどうかは現時点で判定不能です。


②暗号資産に替える

これも①と同じく、暗号資産の保有が負担増の対象にされてしまう可能性が残っているので判定不能です。


もし「ビットコインはセーフ」ということになったら、現物資産みたいにかさばることがないので、身軽に生きたい僕みたいな人間にとっては良い選択肢かもしれません。ただ、昨今の状況を見る限り、日本の政治家や官僚が、暗号資産の保有者を優遇する制度を作るとは考えにくい。なので期待薄だと思っています。


③タンス預金にする

銀行口座から預金を引き出して手元に置いておけば、いくらマイナンバー制度が整っても当局に現金の存在を補足されることはない――――という魂胆だと思いますが、僕の感覚ではこれが一番ダメな対策です。

現金の価値というものはインフレによってどんどん目減りしてゆくのが普通。それを利息の全くつかない状態で長期間眠らせておくというのは、賢い選択とは思えません。社会保障負担を回避できるかどうか以前の問題です。


④法人名義にする

これについては正直よくわかりません。FIRE後にマイクロ法人を作って節税している人がいるという話はチラホラ聞きますが、僕の場合、何の事業もやってないので、法人設立のメリット・デメリットを勉強したことがありません。

ただ、聞きかじり情報で言うと、法人を設立すると収益が出ていなくても毎年一定額の法人住民税を払う必要が生じるとのこと。なので、こうしたランニングコストを上回る節税効果がなければ逆に損してしまうでしょう。

正直、僕みたいな面倒くさがり屋のフルリタイア民には向いていないような気がします。(あくまで先入観)


⑤生前贈与する

僕にとって今のところ、これが唯一、有効だと思える対策です。暦年贈与で毎年110万円ずつ子供に贈与していくと10年で1100万円、子供が2人なら2200万円の自分名義の金融資産を減らすことができます。結局のところ、資産課税対策というのは相続税対策と似たり寄ったり、ということでしょうか。




以上、思いつくまま書いてきましたが、まだ制度が固まっていないこともあって、とりとめのない内容になってしまいました。

しかし、FIREを目指している人にとって、あるいは、すでにFIREを実現している人にとって、これは本当に大きな問題です。

個人的には世論の反発で政府案が撤回されることを願っていますが、SNS上には「資産課税賛成」「貯めてる奴から多く取ればいい」といった声も結構見受けられるので、あまり期待できません。

とりあえず、今後ともニュースを注視しながら、議論がどう進んでいくのか、どんな資産がアウトでどんな資産がセーフに分類されるのかを見極めていくことが大切です。もちろん、負担増を強いられる保有資産額のラインがどのあたりに設定されるかも要チェック。新しい動きがあれば、このブログで紹介していきます。


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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。ただいま49歳。

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