これまで訪れた日本の島々の中から、とっておきの「忘れがたい島」を紹介する連載の第2弾。前回の【関東・近畿編】に続き、今回は【中国・四国編】をお届けします。
(※掲載写真をクリックするとくっきり見えます)
菜種五島(鳥取県)
トップバッターは「山陰随一の景勝地」だと僕が勝手に認定している鳥取県岩美町の浦富海岸(うらどめかいがん)、その沖合に連なる菜種五島(なたねごとう)です。まあ、島というより岩礁の集まりといった感じのところです。
どうですか、この絵画のような風景。そして海の青さ。夏の日本海ってこんなに綺麗なんですよ。
うちの子供たちがまだ幼かったころ、僕は家族旅行で初めてこの地を訪れ、この菜種五島の美しさに魅せられてリピーターになってしまいました。
この辺りは行政が管理する海水浴場ではないので、人も少なく、まるで海外リゾートのプライベートビーチのような雰囲気です。
もちろん海水の透明度も高く、魚も多い。
そして、この菜種五島には僕の大好きな海食洞窟があります。例えば、こちらの島は洞窟がトンネルのようにど真ん中を貫通しています。
泳いで中に入ってみると、こんな感じ。
そして、こちらは水面下の光景。なんとも幻想的です。
さきほども述べた通り、菜種五島一帯は海水浴場じゃないので、シャワーや更衣室はありません。ただ、対岸の陸地の道路沿いに駐車場と公衆トイレがあるので、マイカーがあれば比較的簡単に遊びに行くことはできます。その際はくれぐれも水難事故にご注意を。ゴミもきちんと持ち帰りましょう。
青海島(山口県)
お次は本州と橋でつながっている山口県長門市の青海島(おうみじま)。ここは「海上アルプス」の異名をとるくらい険しい岩が連なった断崖の島です。
その断崖の中に1カ所、海水浴に適した砂利浜が開けていて、そこがキャンプ場になっています。
僕の大好物のカワハギもたくさんいました。
なお、この青海島キャンプ場はバンガローも充実していて、テントを持っていない方でも宿泊を楽しむことができます。ただし、夏休み期間中は予約で一杯になりがちなので、バンガローに泊まりたい人は早めに手配することをお勧めします。
大槌島(岡山県・香川県)
お次は瀬戸内海に浮かぶ無人島、大槌島(おおづちじま)。ちょうど岡山・香川両県の境目に位置していて、北半分が岡山、南半分が香川となっています。
それにしても、この島、なんという均整の取れた姿でしょう。
このおにぎり形の美しいシルエットのお陰で、岡山側から見ても、香川側から見ても、瀬戸大橋から見ても、この島はひときわ目を引きます。
例えば岡山県玉野市の山上から眺めるとこんな感じ。
一方、香川県坂出市から眺めるとこんな感じ。右奥が大槌島です。
ちなみに、この写真の左手前に写っているのは「小槌島」という弟分のような島で、地元では「大槌小槌」とセットで呼ばれることもあります。
さて、香川県で生まれ育った僕は、子供のころから大槌島の美しい姿を目にするたびに「いつかあの島に上陸して、てっぺんに登ってみたいな~」と夢見ていました。
しかし無人島なので、当然ながら定期船などは運航していません。なので、僕がその夢を叶えたのは大人になってから。あるとき知人と2人で漁船をチャーターし、この島に渡してもらったのです。
僕たちが目指したのは、もちろん島のてっぺんです。原生林に覆われた道なき道を登ること約1時間、汗だくになってたどりついた頂上からは360度のパノラマが……と言いたいところですが、そこは無人島。伸び放題の樹木に邪魔されて眺望はそれほどでもありませんでした。
それでも木々の切れ目から瀬戸大橋が一望できました。
しばし頂上で休んだ後、再び海岸まで下りた僕たちは、漁船が迎えに来るまで時間がたっぷりあったので、島の周囲を一周してみることにしました。
瀬戸内海のど真ん中に位置しているだけあって、巨大な船が島の周辺をひっきりなしに行き交っています。まさに海上交通の要衝といった趣です。
また、無人島だけあって、海岸には手つかずの荒磯がどこまでも広がっていました。
ところが、あともう少しで一周というところまで来て、ふいに地形が断崖に。
これが夏なら泳いで前進するという選択肢もあったのですが、あいにくこのときは冬。さすがにこれ以上進むのは危険だと判断して、もと来た道を引き返しました。
島に滞在したのはわずか半日程度でしたが、僕にとっては少年時代の夢を叶えた貴重な体験となりました。
なお、この大槌島には「昔、海賊が宝を隠した」という埋蔵金伝説が残っています。また、平安時代の末、保元の乱に敗れて讃岐に流された崇徳上皇が、都への呪いをこめて血書した大乗経をこの島の近海に沈めた、という禍々しい伝説も地元で語りつがれています。
柏島(高知県)
四国の南西端の高知県大月町にある、陸地と橋でつながった柏島(かしわじま)です。
例によってうちの子供たちが幼いころに家族旅行で訪れたのですが、「ここは沖縄か」と思うほど透明度の高いコバルトブルーの海が印象的でした。
ちなみに、当時は子供がまだ自力で泳げなかったので、こういうふうに背中に乗せてシュノーケリングを楽しんでいました。もちろんライフジャケットを着用させて。
で、子供たちが遊び疲れたら宿で寝かせて、また僕1人で海に戻って泳ぎ続けるということを繰り返していました。いま思えば、あのころは体力があり余ってましたね。
こちらは、四国本土と柏島をつなぐ橋。格好の飛び込み台でもあります。
この柏島、本土と島に挟まれた海峡の一角が砂浜になっていて泳ぎやすいのですが、潮の満ち引きによっては海峡を通り抜ける潮流が驚くほど速くなります。不用意に海峡の出口付近まで泳いでいくと外洋に押し流されてしまいそうになることがあるので、その点はくれぐれもご注意下さい。
おまけ:某島(香川県)
最後は、僕の母方の実家がある瀬戸内海の某島です。
これまで紹介してきた個性的な島々に比べると、取り立てて特徴のない過疎の島ですが、物心ついたころから毎年のように海水浴を楽しんで来た思い出深い場所なので、ここに写真を載せておきます。
ちなみにこの写真、今から6年前に子供たちを連れて僕の祖父母の墓参りへ行き、ついでに海で泳いだときのものです。このころになると子供たちも泳ぎが上達し、ライフジャケットなしでも海面にプカプカ浮かんで休憩できるようになっています。
なお、この島にある母の実家には今は誰も住んでおらず、荒れ放題の空き家となっています。離島の過疎問題に興味がある方はこちらの記事もご覧ください。
それでは【中国・四国編】はこれでお終い。次回はいよいよ最終回、【九州・沖縄編】をお届けします。