安倍派のパー券って誰が買ってるの? 購入企業を一挙公開

2023/12/14

時事ニュース

今回は久しぶりに政治の話です。

このところ、自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)による裏金作り疑惑がマスコミを騒がせています。


報道によると、安倍派が政治資金パーティーを開く際、所属議員に1口2万円のパーティー券の販売ノルマを割り当て、ノルマを超えて売った分は議員が懐に入れて裏金化していたとのこと。その総額は過去5年間で5億円にのぼるとも報じられています。事実なら、政治資金規正法違反であり脱税です。

ここで僕の頭に浮かぶのは、「一体どんな企業がこんなに大量のパー券を買ってんだろう?」という疑問です。

もちろん、企業・団体が政治家からパー券を買うこと自体は違法ではありません。また、今回の疑惑は「業者が政治家にワイロを渡して良からぬことを依頼した」という話でもありません。従って、新聞やテレビがパー券購入企業の実名を報じることは基本的にありません。

しかし。

そもそも論から言うと、企業や業界団体が政治家のカネ集めに協力して「お近づきになる」という旧態依然とした政治風土があるから、こういう裏金作りの余地が生まれてくるわけです。そんな風土を少しでも変えていこうと思えば、まず僕ら自身が「どんな連中が政治家のパー券を買っているのか」ということを知らなければいけません。

というわけで、この記事では、安倍派の政治資金収支報告書をひもとき、パー券購入企業の顔ぶれをバシバシ紹介することにします。


収支報告書に名を連ねる企業群

僕が参照したのは、安倍派の政治団体「清和政策研究会」が東京都選挙管理委員会に提出した2022年分の収支報告書。




これを見ると、この年の5月17日に安倍派が東京プリンスホテル「鳳凰の間」で「清和政策研究会との懇親の集い」と銘打った政治資金パーティーを開き、1億円近いお金を集めていたことがわかります。(※裏金作りがあったとすれば実際はもっと多額のカネを集めていたことになりますが…)

そして収支報告書には、20万円超のパー券を購入した企業・団体の名前がズラリと並んでいます。(※政治資金規正法では20万円以下の購入者は名前を記さなくてもいいというルールになっており、これがザル法と呼ばれる根拠の一つです。)

顔ぶれはざっとこんな感じ。


・不二精工(岐阜県羽島市)    150万円 ※発電・リース会社

・福寿工業(岐阜県羽島市)    150万円 ※部品製造会社

・日本歯科医師連盟(東京都千代田区)150万円

・シゲキ(福島県会津若松市)   100万円 ※不動産会社

・ゴムノイナキ(愛知県名古屋市) 100万円

・全日電工政治連盟(東京都港区) 80万円

・創修会(新潟県上越市)     70万円 ※政治団体

・大阪府医師政治連盟(大阪府大阪市)70万円

・全日本トラック事業政治連盟(東京都新宿区)70万円

・VOLLMONTOセキュリティー(東京都青梅市)60万円

・岩手県医師連盟(岩手県盛岡市) 60万円

・大和ハウス工業(東京都千代田区)60万円

・日本薬剤師連盟(東京都新宿区) 58万円

・WIND-SMILE(東京都江東区)   50万円 ※発電会社

・加藤建設(愛知県蟹江町)    50万円

・千石(大阪府大阪市)      50万円 ※海運・建材会社

・整形外科医政協議会(東京都台東区)50万円

・日本薬業政治連盟(東京都中央区)50万円

・日本医師連盟(東京都文京区)  50万円

・全友会(東京都千代田区)    46万円 ※政治団体

・埼玉県医師連盟(埼玉県さいたま市)42万円

・日販協政治連盟(東京都中央区)  42万円

・大和エンタープライズ(愛知県大口町)40万円 ※廃棄物処理会社

・山和ホールディングス(埼玉県さいたま市)40万円 ※パチンコ・スロット

・山和ファルコン(埼玉県さいたま市)40万円

 ………

ふう。

収支報告書にはまだまだ多くの企業名が記されていますが、なんかもう転記するのがしんどくなってきたのでこのへんにしておきます。全部見たいという方はこちらから実物をじっくりご覧ください。

まあ、ざっと見た感じ、全国各地の企業や業界系政治団体が名を連ねていますが、やはり目立つのは医療関係でしょうか。念のため、2021年分の収支報告書にも目を通してみましたが、大体同じような顔ぶれが並んでいました。

こういった面々が毎年、大量にパー券を買い込み、自民党の派閥政治を支えているわけです。


政治家天国ニッポンで増税は続く

もちろん、業界から自民党へ流れ込むカネはこれだけじゃありません。

自民党の政治資金団体である一般財団法人「国民政治協会」には例年、トヨタ、JR東海、パナソニックといった名だたる大企業からケタ違いの政治献金が流れ込んでいるし、それぞれの国会議員が代表を務める自民党支部には地元企業から続々と献金が寄せられています。

ここに国民政治協会の収支報告書の1コマを掲載しておきますので、自民党の集金力の凄まじさをとくとご覧ください。


(※クリックするとくっきり見えます)


株式投資をしている人なら、こういった企業の献金動向を知っておくのもあながち無駄ではないかもしれません。

それにしても、世の中には、権力者にお金をプレゼントするのが好きな経営者が本当に沢山いるもんですね。こういうふうに収支報告書を眺めていると、つくづくそう感じます。

誤解がないよう再度強調しておきますが、これらは別に違法行為ではありません。政治献金もパー券購入も今の日本では合法です。恐らく、これらの企業の経営者に「なぜ政治家にお金を渡すのですか?」と尋ねたら、「政治姿勢に共感しているからです! 見返りなんか期待してません!」と答えるでしょう。

でも、自民党の金権政治の歴史を多少でも知っている人なら、そんな「きれいごと」はまず信じないと思います。

振り返れば1990年代、政治家と業界が癒着した金権政治に対する怒りから、国民の間に企業・団体献金の禁止を求める声が高まりました。このとき、政治家たちは「献金を禁じるなら代わりの収入が必要だ」と主張し、政党交付金制度を作りました。

ところが、政党交付金が導入された後も、政治家たちは一向に企業・団体献金を禁止せず、いまだに「両取り」の状態が続いています。

ちなみに、今年1年間に自民党に支給された政党交付金は159億円。もちろん原資は税金です。

これだけ自らを優遇している政治家が「(増税は)今を生きる国民の責任」などと真顔で演説するんだから、日本という国は本当に政治家天国だと思います。



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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。ただいま49歳。

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