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7月中旬から下旬にかけて、「日本最後の秘境」と称されるトカラ列島を旅してきました。
主に滞在していたのは、こちらの小宝島(こだからじま)。
出発前の予告記事にも書きましたが、面積1平方キロメートルに満たない絶海の孤島です。
この日本にありながら、メディアで紹介されることも極端に少なく、ほとんどの日本人にとって未知の世界だと思うので、滞在中に見聞したことをここに詳しく書き記しておくことにします。
原初の景観が保たれた島
まず、トカラ列島というのは、九州と奄美大島の間にほぼ一列になって点在する島々のこと。正式には「吐噶喇列島」と表記し、行政区分上は鹿児島県十島村に属します。
近くには、縄文杉のある屋久島やロケット基地のある種子島など、観光地として有名な島がありますが、それらに比べるとトカラの島々はずっと小さく、知名度も低く、交通の便も悪く、訪れる観光客も少ない地味な存在です。
でも、だからこそ手つかずの大自然と素朴な島の暮らしが残っていて、僕みたいな「穴場狙い」の旅人をひきつけるわけです。
そんなトカラ列島には人が住んでいる島が7つあるのですが、その中で最も小さく、人口が少なく、開発から縁遠いのが小宝島。
場所はこのへんです。
島内の大型コンクリート構造物といえば船着き場の岸壁くらい。陸と海を遮断する堤防も、ランドマーク的な建物もない。
つまり、数ある日本の有人島の中でも、最も原初の状態に近い景観が保たれた素晴らしい島なのです。
24時間かけてようやく到着
今回の旅程を簡単に説明しておくと、まず、本州にある僕の自宅から電車と飛行機を乗り継いで奄美空港へ。そこからバスで名瀬港へ。さらに、そこから船で小宝島へ渡ったわけですが、待ち時間も含めトータルで24時間余りかかりました。
この過程をすべて再現すると余りに長くなってしまうので、奄美大島の名瀬港で船に乗るところから始めることにします。
こちらがトカラ列島への唯一の交通手段である「フェリーとしま」。週2便の運航です。(※本土側の鹿児島港から乗ることもできます。)
深夜の午前2時に名瀬港を出航し、午前5時40分ごろに小宝島に到着します。ありがたいことに、前日の夕方6時から乗船を受け付けているので、早めに乗って船内で眠ることができます。
これが僕が利用した2等船室。ウナギの寝床みたいで窮屈そうですが、乗客が少ないので全く問題なし。小宝島までの料金は4830円。カプセルホテルに1泊したと思えば安いものです。
難点は冷房がきつすぎること。こういう船は大体どれもそうなんですが、とにかく寒すぎる。なので、僕はシャツの上に海水浴用の長袖ラッシュガードを羽織り、毛布をかぶって寝ました。
午前5時ごろ、最初の寄港地である宝島に到着。17世紀後半に世界の海を荒らしまわった英国系の海賊キャプテン・キッドの財宝伝説が残る、トカラ列島最南端の島です。
その宝島を出ると、いよいよ目的の島が見えてきました。
あれが小宝島です。
午前5時40分、ついに小宝島港に入港しました。
念願の上陸を果たすと、こんな早い時刻にも関わらず、民宿の女将さんが港まで迎えに来てくれていました。
岩山をうがった道を抜けて集落へ向かいます。
コンクリートで舗装された道路の脇はすぐ密林。ガジュマルやアダンが鬱蒼と茂っています。
う~ん、やはり秘境の名にふさわしい。
ちなみに、島内には牛を飼っている小さな牧場もあります。とにかく陸地は緑一色です。
そして、こちらが僕の泊まる宿。
島に3軒だけある民宿の中の一つです。
それにしても背後の山の借景がすばらしい。
いざ、食材調達にチャレンジ
ところで、この島には「店」と名のつくものが一切ありません。食料品店も雑貨店も飲食店もなし。だから民宿は3食付きです。
僕は普段、海辺を旅するときは自分で魚を捕り、米と野菜を買って自炊することにしているのですが、魚以外の食料を調達できないこの島ではこの方法が通用しません。
そこで、民宿の女将に「僕が海で捕ってきた魚を晩御飯の食材に使ってくれませんか」とお願いしたところ、「夕方5時までにここへ持ってきたら料理してあげるよ」とのこと。
よし!
自給自足とまではいかないけど、大自然の中で食材を調達する醍醐味は味わえるわけだ。やはり島旅はこうでなくては。
僕は早速、持参したウエットスーツに身を包み、愛用のヤスを携えて海へ繰り出すことにしました。