新NISAに年間いくら投じるべきか

2023/06/21

NISA 資産運用

来年(2024)スタートする新NISAを使って年間いくら投資しようか?

最近こんな問題に頭を悩ませている人が多いようです。

理論的には年間の非課税投資枠を上限いっぱい使い切って、できるだけ早く生涯非課税投資枠を埋めてしまうのがベストだと言われてるらしいけど、そこまでの資金力がない。

それに、ほかにもお金を使いたいことがたくさんある。「若いうちは貯金よりも経験を積むことの方が大事」という話も聞く。今の楽しみと将来への備え、どのくらいのバランスで考えればいいのだろうか、という悩みです。

今回はこのことについて僕の考えを書いてみます。

多少生活を切り詰めても…

 まず結論から言いましょう。

「多少生活を切り詰めてでも自分にとって精一杯の金額を新NISAへぶちこむべし。その見返りは十分期待できる」

これが僕の考えです。

とはいえ、誤解を招きかねない表現なので少し補足しておきます。

「資金力がない」という人には、大きく2種類のグループがあると僕は考えています。

1つ目のグループは、本当に収入が少なくて節約しても節約しても毎日がカツカツの人。あるいは家庭の事情や健康上の問題で収入を自由に使うことができない人。

こういう方々は無理をしてはいけません。投資よりもまずは日々の生活。場合によっては行政に支援を求めて家計を安定させることを考えてください。

2つ目のグループは、それなりの収入があるんだけど、なかなか節約ができなくて結果的に毎日がカツカツの人や、欲しいモノがたくさんありすぎて投資に回すお金を確保できない人。今回の記事はこういう方々を念頭に書いていると思ってください。


 インデックス投資の正しい戦い方

 NISAの年間非課税投資枠は360万円。これは現行の一般NISAの3倍、つみたてNISAの9倍に相当する額です。

そして生涯非課税投資枠は1800万円。毎年投資を続けていって、投資元本の合計額がこの生涯枠に達したら、資金投下はそこで打ち止めになります。

なので、新NISAで積立投資をする場合、月30万円のペースで毎年360万円を投資して5年で生涯枠を使い切る「最速型」の選択肢もあるし、月1万円のペースで毎年12万円ずつ投資してゆく「スロー型」の選択肢もあります。ちなみに、スロー型の場合は生涯枠を使い切るまでに150年かかります。

基本的には各人が懐事情にあわせて投資のペースを考えればいいわけですが、純粋に「資産を増やす」という観点で考えると、やはり「最速型」がベストの選択肢となります。

インデックス投資の世界では、全世界株式や米国株式に浅く広く投資するインデックスファンドの場合、控えめにみても年間平均4%以上のリターンが期待できると考えられています。

もちろん、年によって株価が急騰したり暴落したりといった変動の波はありますが、2030年と長期運用すれば経済成長の恩恵で大体このくらいの値に落ち着いてゆくだろう、という話です。

この前提を信じるならば、「人生のより早い時期にインデックスファンドへ資金を投下し、より長く寝かせておく」というのが正しい戦い方になります。

360万円コースvs.120万円コース

ここで少しシミュレーションしてみましょう。

比較するのは、NISA口座で毎年360万円をインデックスファンドに投資して5年間で生涯枠を使い切る「最速型」と、毎年120万円を投資して15年で生涯枠を使い切る「ほどほど型」。

トータルの投資額はともに1800万円、インデックスファンドの年間リターンはともに4%と仮定し、20年後の資産の増え方を比べてみることにします。

(※作業を簡単にするため毎年初めに一括投資する前提で計算しました。見やすさ重視のため1万円未満を切り捨てて表記します。)

 


まずは「最速型」から。

1年後 360×1.04374万円

2年後(374360)×1.04763万円

3年後(763360)×1.041168万円

4年後(1168360)×1.041589万円

5年後(1589360)×1.042027万円 ※ここで資金投入終了

6年後 2027×1.042108万円

7年後 2108×1.042193万円

………… 省略 ………………………

19年後 3376×1.043511万円

20年後 3511×1.043652万円

はい、元本1800万円が2倍超の3652万円に成長しました。

 

次に「ほどほど型」いってみましょう。

1年後 120万円×1.04124万円

2年後(124120)×1.04254万円

3年後(254120)×1.04389万円

4年後(389120)×1.04529万円

………… 省略 ………………………

14年後(2075120)×1.042282万円

15年後(2282120)×1.042498万円 ※ここで資金投入終了

16年後 2498×1.042598万円

17年後 2598×1.042702万円

18年後 2702×1.042810万円

19年後 2810×1.042923万円

20年後 2923×1.043040万円

はい、こちらは元本1800万円が約1.7倍の3040万円に成長しました。

スタートダッシュの重要性

というわけで、「最速型」が3652万円、「ほどほど型」が3040万円。

どちらも20年の間に同じ金額を投下したのに、「最速型」の方が600万円以上も大きなリターンを手にすることができました。当然、30年後40年後にはもっと大きな差がつきます。

(※実際の株価には変動の波があるので、「最速型」の人は、資金投下する5年間が株高の時期に当たってしまうリスクがあります。そうなると高値掴みになって投資成績は下がります。もちろんその逆もありえます。いずれにせよ、株高の時期や低迷期がいつやってくるのかは誰にもわからないので、チャンスを待って資金投下時期をズルズル先延ばしにするのは得策ではありません。)

いかがでしょう? 新NISAでスタートダッシュに力を入れることは想像以上に重要な意味を持っているということがわかってもらえたのではないでしょうか。

もちろん、これはあくまで過去の傾向をもとにした単純な試算であって、確実な未来予測ではありません。それに「いくら将来への備えが大事だと言っても今の生活も楽しみたい」という意見もあるでしょう。それはその通りだと思います。

ただ、このブログを読んでくださっている方の多くは「いつかFIREしてやりたい」という野望をお持ちでしょうから、そういう人々に向けて、あえて僕の偏った考え方を披露します。

 


その気になれば、お金を使わず毎日を楽しむ方法なんていくらでもある!

知恵を絞れば、お金を使わず貴重な経験を積む方法なんて沢山ある!

安易にお金を使うより、節約を極める方が頭も心も鍛えられる!

特に若いうちの貧乏暮らしなんて勲章みたいなもんだ!

だから、これから数年間は特別気合を入れて節約に励み、なるべく早くNISA口座にまとまったお金を放り込んでしまうべし!

 

以上です。

ご存じの通りNISAの運用益には一切税金がかかりませんから、これを実践すれば将来かなりの確率で莫大な見返りを得ることができると思います。(今後も世界経済が成長しインデックスファンドがリターンを生み出し続けるという前提を信じるならば、という話ですが……)

もちろん、僕自身はサラリーマン時代にためたお金を使って「最速型」を実行するつもりです。40代の終わりが近づいた今も、節約生活がまったく苦にならない体質なので。

 

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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。

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