【南の島30連泊日誌⑤】海辺移住、たどりついた結論

2024/10/12

旅・アウトドア

今回が南の島レポートの最終回になります。

テーマはずばり、「1カ月の島暮らしを終えて、海辺移住を実行する気になったか?」という問題です。そもそも今回の旅の目的は、この問題に結論を出すことでした。

(詳しくは出発前に書いた記事〈南の島に30連泊して人生設計考えてきます〉をご覧下さい)


では、その結論から申し上げましょう。

あくまで現時点の考えではありますが、本格的な移住はしなくてもいい。具体的にいうと、離島のような都市部から遠く離れた僻地に不動産を取得し、一人暮らしを始めるといったガチの移住はやらなくていい。

それよりも、毎年夏の間だけ、離島をはじめとする海辺の土地に1~2カ月程度の長期滞在をして、魚突きを中心としたプチ自給自足生活を楽しんだ方が満足度は高そうだ――――というのが僕の答えです。

その理由をざっと挙げればこんな感じ。


① 海を満喫できる季節は限られている

② 僕は飽きっぽい性格である

③ 体力の限界が見えてきた


それでは一つ一つ説明していきましょう。


理由①:海を満喫できる季節は限られている

僕にとってこれが最大の理由となります。

一般的に海辺暮らしの魅力と言えば、四季折々の海の表情を楽しむことができるという点だと思います。言い換えれば、春の海には春の海の良さ、秋の海には秋の海の良さがあるということ。なかには「真冬の海を眺めているだけでも幸せ」というロマンチックな方もいるでしょう。

ところが残念なことに、僕はそこまで無条件に海を楽しめる人間ではありません。

正直なところ、僕が海辺暮らしをしたい理由の95%くらいは「日常的に自分で魚を捕まえて食べたい。特に海に入って泳ぎながらヤスで魚を突きたい」ということに尽きます。

となると、僕が最高レベルで海辺暮らしを満喫できる季節というのは、必然的に夏の間だけになります。より具体的にいうと、1年のうちで最も海水温が高くなる7月半ば~9月半ばの約2カ月間に限定されてしまうのです。

(※一般的にウェットスーツを着用すれば、魚突きができる期間はもっと長くなるのですが、僕は人一倍寒がりなので、ストレスなく楽しめるのはこの2カ月にほぼ限定されてしまいます。また、八重山諸島や宮古諸島といった沖縄の海ならこの時期以外でも海水温は高いと思いますが、そこまで南方に行ってしまうと、今度は僕が積極的に食べたいと思う魚種が少なくなってしまいます。あと、観光地として有名な沖縄の島々では一般人の魚突きが禁じられているケースが多いという話もチラホラ耳にするので、今のところ検討対象に含めていません。)

つまり、僕が海辺に移住した場合、夏以外の季節は最も楽しい魚突きをあきらめ、次善の策として陸上からの釣りを楽しみながら日々を送るということになります。こう書くと、読者のみなさんは「それはそれで楽しそうじゃん」と思われるでしょう。

ただ、今回の旅行で痛感したのは「僕には釣りの才能がない」という残念な事実でした。

1カ月余りにわたる今回の旅行中、僕は連日の魚突きで体力が消耗してしてしまうと、休養日を設けて海に潜るのを控え、代わりに防波堤釣りをやってみました。ところが、これが全くと言っていいほど釣れなかったのです。

念のために言っておくと、僕は魚突きだけじゃなく釣りも好きです。これまで遊びに行った各地の海でカサゴやアカハタなどの魚をそれなりにたくさん釣ってきました。40cm超えのクロダイを釣りあげたこともあります。

なのに、この島ではどういうわけか、いくら釣り糸を垂らしても、何時間待ってもアタリがほとんどありません。海の中に魚がたくさんいることは自分で潜って確かめているわけだから、これはもう釣り方が悪いとしか言いようがありません。

もし僕が「釣りキチ三平」のような真性の釣り師なら「悪いのはエサか、仕掛けか、潮か、ポイントか? こうなったら研究に研究を重ねて、何日かけてもいいから絶対に大物を釣り上げてやるぞ」と闘志に火が付くところでしょう。

しかし、こらえ性のない僕は「ああ、早起きして夜明け前から5時間も粘ったのに! こんなのバカバカしくてやってられないや」となってしまう。

もしも離島に移住したあとでこんな状態に陥ったら、僕は夏以外の季節を退屈しながら過ごすことになってしまうかもしれない――――防波堤釣りで全く結果が出せないという現実を突きつけられ、そんな心配が頭をよぎったのでした。

以上のことを考えると、1年を通じて海辺に定住するよりも、夏限定で海辺に長期滞在する今回の旅行のようなスタイルの方が僕には合ってるんじゃないか。

しかも、今回泊まった自炊宿の宿泊料金は30連泊で66000円。これなら賃貸住宅の家賃と同じ水準なので、経済的負担も少なくて済みます。


理由②:僕は飽きっぽい性格である

これは要するに、同じ場所でずーっと遊んでいたら飽きてしまう、時々フィールドを変えて遊んだ方が楽しいということです。

1カ月にわたる今回の南の島旅行はとても楽しかったのですが、旅行を終えた今、僕の頭の中を占めているのは「来年の夏はどこの海へ行こうか?」という問題です。

で、「一昨年・去年・今年と3年連続で太平洋に浮かぶ南の島を訪れたから、次は隠岐とか壱岐とかいった日本海の島が面白そうだな」などと考えています。

釣り好きの方ならわかると思うのですが、同じ日本列島でも、地域によって生息している魚の種類は様々です。

例えば、本州の太平洋側の磯にはウツボがいますが、瀬戸内海や日本海側の磯にはほぼいません。僕の大好きなカサゴは、西日本なら太平洋側にも日本海側にも瀬戸内海にもたくさんいますが、鹿児島より南のトカラ列島や奄美群島へ行くとほとんど姿を見なくなります。

こんなふうに地域によって海の中で出会う魚の顔ぶれが大きく変わるので、そのとき、どんな魚を捕まえてみたいか(=食べてみたいか)という気分によって、僕は毎年の旅行先を決めています。

今回のケースでいえば、今年訪れた南の島にはカサゴがほとんどいなかった。それから、カワハギに似たツマジロモンガラという魚はたくさんいたけど、本州や四国の海にたくさんいる本家のカワハギは全く見なかった。

だから「来年はカサゴやカワハギがたくさんいそうな日本海の島に行きたいな」という気分になっているわけです。

しかし、僕がどこかの海辺に定住してしまうと、出会う魚の顔ぶれが固定されてしまう。自分の飽きっぽい性格を考えると、その土地で2年3年と過ごしているうちに「ああ、この辺りの海にはいない〇〇や××を捕まえてみたくなってきたなー」となりそうな気がします。

そしたら、そこからまた別の地方へ魚突き旅行に出かけるという状況も考えられるわけで、なんだかお金がもったいない。それなら最初から移住ではなく長期滞在旅行でいいか……などと考えてしまうわけです。


理由③:体力の限界が見えてきた

これは毎年、魚突き旅行へ出かけるたびに実感していることなのですが、加齢とともに僕の体力は右肩下がりで低下しています。

振り返ってみれば、30代のころの僕は、幼い子供3人を引き連れて海辺の自炊宿に泊まり、朝から昼過ぎくらいまでは子供と海で遊び、昼過ぎ以降は子供たちを宿で寝かせ、自分1人で海に舞い戻って夕方まで魚突きをする――――というハードスケジュールをこなしていました。

でも、49歳になった今の僕には、とてもそんな体力はありません。せいぜい1日5~6時間くらい魚突きをして、自分1人の食事を作るだけで精一杯。このぶんだとあと10年もすれば、魚突きのために海に潜ることさえしんどくなっているかもしれません。

そう考えると、子供たちが独立した後、50代半ばになった僕が本格的に海辺移住したとして、その後何年間くらい魚突きライフを楽しめるのかは未知数です。下手すると、わずか3~4年で「もう海に潜るのは無理だ」となってしまうかもしれません。

それならば、毎年自分の体力と相談しながら長期滞在旅行を繰り返し、「もう無理だ」と悟った時点でスパッと魚突きから引退する方が無駄がなくていいかな、という気がするわけです。



今後の課題は「宿の開拓」と「釣り技術の向上」

以上が、現時点で僕が「離島の不動産を取得するような本格的な移住をするくらいなら、長期滞在の方がよさそうだ」と考える理由です。

なので、僕は今後のライフワークとして、今回の自給自足ツアーで利用したような長期滞在者向けの格安自炊宿を、全国各地で開拓していきたいと思います(これがなかなか見つからないのですが…)。

ただ、そうはいっても、海辺移住を完全にあきらめたわけではありません。

僕の心の中にはやはり「離島で魚突きとまではいかなくても、そこそこの地方で日常的に自分で獲った魚を食べる生活はしてみたい」という願望はなお燻っています。

なので、そのために宿の開拓と並行して、釣りのスキルを向上させる努力を細々と続けていきたいと考えています。

さきほども述べたように、釣りは魚突きと違って夏以外の季節でも楽しめる趣味です。また、魚突きは楽しめる地域が限定されていますが(都道府県によってはローカルルールで禁止されている)、釣りはほぼ全国どこでも楽しめます。

そして、釣りは魚突きほどの体力を要求しません。仮に60歳で魚突きができなくなったとしても、釣りならさらにあと15年くらいは楽しめるような気がします。

つまり、老後の楽しみという視点で考えれば、魚突きよりも釣りのスキルを向上させた方が海辺移住のハードルは下がるのです。

なので、これから毎年夏に各地の自炊宿で魚突きを楽しむ一方、老後への布石として釣りの腕前を磨き、なお心の中に移住の選択肢も残しておこうと思います。


というわけで、「南の島30連泊日誌」はこれでお終いです。8月31日に南の島から帰ってきて、一気に書き上げてしまえばよかったのですが、いろいろあってダラダラ書いているうちにいつのまにか10月になってしまいました。お恥ずかしい限りです。

最後にこの旅行にかかった費用をお示しして、締めとさせていただきます。


(おわり)







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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。ただいま49歳。

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