今の日本で最もマシな安全資産置き場はどこか【2023年12月版】

2023/08/05

個人向け国債

(12月6日更新)


投資の重要性が叫ばれるようになって久しい昨今ですが、まともな感覚の持ち主なら、自分の全財産を株や不動産に突っ込むということはしないでしょう。

財産の何割かは安全資産として確保し、残る部分でリスクを取った投資をする。これが資産運用のセオリーです。

では、投資に回さない安全資産の置き場所として、現時点で最も優れている金融商品ってなんだろう?

今回はこの問題を考えてみます。





安全資産とは何か

最初に「安全資産とは何か」ということを定義しておきましょう。

それは一言でいえば「円ベースで元本保証された資産」です。例えば、ある金融商品に100万円を突っ込んだところ、1年後に評価額が99万円になっていたというのでは、それは安全資産とは言えません。

というわけで対象となるものは次の3つです。

・普通預金 ・定期預金 ・個人向け国債

なんとも地味な顔ぶれですが、こればかりは仕方ありません。

金(ゴールド)や不動産は株式と同じく常に価格が変動するし、外貨預金や外国債には為替リスクがある。日本企業が円建てで発行している社債も倒産リスクを考えれば安全資産とは言い難い。

こういうふうに考えていけば、万が一、預け先の銀行が破綻しても預金保険機構によって1人当たり1000万円まで保護される普通預金・定期預金と、日本が国家破産しない限り安全だと言われている個人向け国債に絞られます。

しかし、ご存じの通り、今の日本ではこれらは軒並み金利が低い。人によっては「銀行預金の金利なんて微々たるものだから調べるだけ時間の無駄」とハナからバカにしているかもしれません。

とはいえ、低いなりにも差はあるし、わずかではありますが利率も少しずつ変化しています。そこを徹底的に比較して、少しでも有利な安全資産置き場を見極めようというのが、この記事の狙いです。


国債と銀行預金の利率を比べると

それではまず、2023年12月6日現在の主な安全資産置き場の金利を一覧表にしましたので、よく見比べてください。

(いずれも税引き前、カッコ内は1000万円預けた場合の1年当たりの税引き前概算利息額)


・3大メガバンクの普通預金 0.001%(100円)

・3大メガバンクの定期預金 0.002%(200円)

あおぞら銀行の普通預金  0.20%(20000円)

個人向け国債(固定5年) 0.25%(25000円)※12月募集分

SBI新生銀行の定期預金 0.30%(30000円)※1年もの

オリックス銀行の定期預金 0.30%(30000円)※1年もの

オリックス銀行の定期預金 0.35%(35000円)※3年もの

オリックス銀行の定期預金 0.40%(40000円)※5年もの

オリックス銀行の定期預金 0.45%(45000円)※7年もの

個人向け国債(変動10)   0.46%(46000円)※12月募集分


いかがでしょうか。

これを見る限り、今の日本で最も条件のいい安全資産は個人向け国債(変動10)だと言って差し支えないと思います。

変動10の金利は、日銀の金融緩和政策によって長らく最低水準の0.05%のまま推移してきましたが、2022年の初めごろからジワジワ上がり始め、その後の政策修正によって2023年11月には0.60%まで上昇しました。

12月には再び下落して0.46%になってしまいましたが、それでもなお、各銀行の定期預金金利を上回っています。



さらに言えば、金利差以外にも、変動10が銀行預金に比べて「安全資産置き場」として優れている点がいくつかあります。

定期預金の弱点と変動10の強み

まず押さえておきたいのは、「世の中の金利上昇にうまく対応できない」という定期預金の弱点です。

例えば、あなたが金利0.3%の5年もの定期預金を組んだとします。その2年後に世の中の金利が上昇し、金利0.6%の定期預金が登場したらどうするでしょうか。

恐らくあなたは「満期までの残り3年間をこのまま0.3%の金利で運用するのはバカバカしい」と考え、定期預金を途中解約し、新たに金利0.6%の定期預金を組み直そうとするでしょう。

すると、途中解約のペナルティーで、すでに経過した2年間分の利息はほとんどもらえなくなってしまいます。

しかも、そのまた1年後、さらに世の中の金利が上昇して、金利1.0%の定期預金が登場するかもしれません。そこでまた途中解約したらまた過去1年分の利息がほとんどもらえなくなる。結局、トータルで3年もの時間を無駄にしてしまいます。

この点、個人向け国債(変動10)は優れています。

満期は10年と長いのですが、半年ごとに世の中の金利動向に合わせて利率が見直されることになっているので、スタート時点で金利0.3%であっても、世の中の金利が上昇していけば、その波に乗っていくことができます。(逆に、世の中の金利が下落すればそのあおりを受けます。)

また、なんらかの事情で満期を迎える前に中途換金することになっても、ペナルティーは直近1年間の利息だけです。例えば、購入から8年後に中途換金した場合、最初の7年分の利息はきっちり受け取ることができるわけです。

以上のことを考えると、金利の上昇局面で有利なのは個人向け国債(変動10)、金利の下落局面で有利なのは定期預金ということになります。もちろん今は金利の上昇局面だから変動10を活用すべし、というわけです。


攻めと守りを忘れずに

以上、今の日本で最も優れた安全資産置き場は個人向け国債(変動10)だということを説明してきたわけですが、最後に1つ大事なことを補足しておきます。

それは、インフレが急速に進む今の世の中、わずか0.60%程度の金利では実質的な資産価値が目減りしてゆくのは避けられない、ということです。

そういう意味では、変動10は「最も優れた安全資産置き場」というより「最もマシな安全資産置き場」と言うべきでしょう。

冒頭でも述べたように、「財産の何割かは安全資産として確保し、残る部分でリスクを取った投資をする」というのが資産運用のセオリー。守りと攻めをうまく使い分け、トータルでインフレに打ち勝たなければなりません。

特に僕みたいにFIREした人、あるいはFIREを目指している人はそのことを肝に銘じておかなければいけません。ちなみに僕の場合、リスク資産(攻めの部分)は主にインデックスファンドで運用しています。


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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。

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