早期リタイア最大の敵=インフレにどう備えるか

2023/09/29

資産運用

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2024年3月18日更新


FIREを達成した人にとって最も恐ろしいものは何だと思いますか?

人によって答えはまちまちだと思いますが、僕なら「株式市場の大暴落、インフレ、金融資産課税」と答えるでしょう。

そして、この中で最も身近な脅威といえば、それは間違いなくインフレです。




若いうちにお金をたくさん貯めて人より早く仕事を辞める。そんな人生を志向する者にとってインフレは天敵のような存在です。

そして今、日本社会は過去数十年間ほとんど縁がなかったインフレに直面しています。

そこで今回は、3年前に早期退職した僕が実践しているインフレ対策について話してみようと思います。



インフレで一番困るのは、過去の貯えが頼りの人

そもそもインフレというのは、お金の価値が下がり、相対的にモノの値段が上がっていく現象だから、誰にとってもあまりうれしいものではないでしょう。

ただ、世の中全体のことを考えたら、年2%くらいのスピードでインフレが進んでいった方が景気や経済成長を支えるうえで望ましいと言われています。

こういう健全なインフレであれば、モノの値段と人々の給料が一緒に上昇していくから、現役のサラリーマンは何の問題もありません。

しかし、すでに早期リタイアしてしまった人、つまり過去の貯えで生活をしている人は事情が異なります。モノの値段だけが一方的に上がり、貯えたお金の価値がどんどん減っていくわけだから、生活は苦しくなる一方です。

だから一般的に、早期リタイアする人は、すべての資産を現預金で持っておくのではなく、その何割かをインフレに強いといわれる資産(不動産・ゴールド・株式 etc)に替えておけ、と言われているわけです。




例えば、資産のうち50%を銀行預金、残り50%を不動産にしておけば、インフレに見舞われて預金の価値が減少しても、その分、不動産の価格が上がるから資産全体で見れば損はしないという感じです。


2022年に効果を発揮した資産分散

そんなわけで僕も、3年前に45歳で早期退職するにあたり、この教えを実践することにしました。サラリーマン時代は銀行預金100%だった資産構成を大きく改めることにしたのです。

とはいえ、持っているだけでいろいろ手間のかかる不動産を買うのは、「身軽な人生」を好む僕の性格上、どうしても気が進みません。

そこで不動産は最初から除外し、銀行預金の一部を、海外の株式に投資するインデックスファンド、国内の高配当株、REIT(不動産投資信託)、ゴールドなどに順次替えていくことにしました。

また、残りの預金もすべて円のままにしておくのではなく、一部をドルに替えて円安リスクに備えることにしました。

これらはすべて、退職の半年くらい前に始めた「にわか勉強」で得た知識に基づく対策です。いわば聞きかじりの生兵法のようなものですが、それでも効果は十分にありました。

僕が会社を辞めた2020年3月当時、日本経済はまだまだ「万年デフレ」のような状態でしたが、コロナ過を経て、2022年から急激なインフレと円安に直撃されました。そんな中、我が家は資産をしっかり分散していたおかげで大きなダメージを免れることができたのです。

もちろん、日々の買い物では「モノが高くなったな」と感じることが多くなりましたが、それ以上に保有するインデックスファンドやゴールド、ドルの価値が上昇しているので、今のところインフレによる生活苦には直面していません。

つくづく、「にわか勉強しておいて良かった」と思います。

もし、円預金一辺倒のままだったら、僕のリタイア人生は出だしから大きくつまづいていたことでしょう。

というわけで、「我ながらよくやった」と己のインフレ対策に自信を深めたわけですが、つい最近、僕が実践するこのインフレ対策とは全く別の方法論を提唱している方がいることを知りました。それがなかなか衝撃的な内容なのです。


最強のインフレ対策は銀行預金!?

その方は経済評論家の荻原博子さん。「投資なんか、おやめなさい」「買うと一生バカを見る投資信託」といった著書でおなじみの方です。

その荻原さんが経済誌「プレジデント」の2023年8月4日号の特集「金持ち老後の株・投資戦略」の中でこんなことを書いていました。


ちなみに私は「インフレになると現金は本当に弱いのか」と研究したことがあります。例えば韓国は1997年に通貨危機に陥り、IMF(国際通貨基金)の管理下に置かれました。このとき最も価値が守られた資産は何だったと思いますか? 驚くなかれ「銀行預金」だったのです。


ええ?

通貨危機で最も価値が守られた資産が銀行預金!?

そんなことがあり得るの、と思って続きを読んでみました。

荻原さんの記事によると、この通貨危機でウォンの国際的価値は紙屑同然になりましたが、同時に韓国の株価指数も2カ月で約45%下落しました。つまり、預金も株も大ダメージを食らったわけです。




このとき、韓国の中央銀行はウォン安を食い止めるために利上げを断行。これにより変動制の住宅ローン金利は30%以上になったそうです。背伸びしてローンを組んでいた人にとっては、悪夢のような状況でしょう。

ところが、ここから意外な展開になります。

記事によると、IMFが銀行預金の全額保護を宣言。これにより銀行口座のお金は安全が確保されただけでなく、利上げの恩恵を受けて、ほったらかしでもしっかり増えていったそうです。

一方、住宅ローンの急激な上昇で金利を払えなくなった人々は、住宅を投げ売り。このため不動産価格は大暴落しました。

こうした混乱の中、きっちり保護された銀行預金を使って不動産や株をここぞとばかりに買い集めた人たちが、結果的に大儲けすることになったというのです。




こうした経緯から荻原さんは「銀行預金こそが、急激なインフレにも対応できるリスクヘッジ資産なのです」と強調しています。


荻原さんの預金最強説に普遍性はあるのか

う~ん、驚くべき話です。

僕はこれまで、インフレになると現預金は価値が下がり、不動産や株は相対的に価値が上がるものだと単純に思い込んでいましたが、荻原さんによると、通貨危機レベルの急激なインフレの場合は必ずしもそうとは限らない。

韓国の通貨危機のケースで言うと、ウォン・株・不動産が軒並み大暴落し、中央銀行やIMFがあれこれ対策を打った結果、最終的には銀行にウォンをたくさん預けていた人が最も手厚く救済されたということになります。

ただ、僕が少し引っかかるのは、この話にどこまで普遍性があるかという問題です。

この記事を信用するならば、韓国のケースでは銀行預金をたくさん持っていた人が一番トクをしたわけだけど、それはあくまで「風が吹いたら桶屋が儲かる」的な偶然の積み重ねの結果であって、今後日本で急激なインフレが起きた場合にも同じように物事が運ぶんだろうかという疑問が残るわけです。

より具体的に言えば、日銀やIMFがこちらの期待通りの政策を打ち出してくれるとは限らないんじゃないか、その場合、銀行預金に全振りしている人の運命は全然違ってくるんじゃないか、という疑問です。

この疑問、経済を基礎からきっちり学び、古今東西の通貨危機の事例を熟知している人なら、それなりに判断できるのだろうけど、僕みたいに聞きかじりで「にわか勉強」しただけの人間には何とも判断できません。

だから、荻原さんが提唱するこのインフレ対策がどこまで信頼に値するものなのか、正直、僕には測りかねます。

なのでとりあえず、僕は資産をドル・株式・ゴールドなどに分散しながらインフレに備える現在の対策を継続することにします。少なくとも、2022年に始まった今の日本のインフレには、この方法でうまく対応できているわけだから。

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コロナ禍のなか、45歳で新聞社を早期退職し、念願のアーリーリタイア生活へ。前半生で貯めたお金の運用益で生活費をまかないながら、子育てと読書と節約の日々を送っています。

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